高齢親の免許自主返納に厚労省のアドバイスを試したけどダメだった話

ちなです。義理の父に車の運転をやめてもらいたいです。

もう80歳だけど体力ありありのアクティブ親父で、ほぼ毎日車を運転してどこかに出かけています。ただ、知らない間に事故をしていたり(自損だけど)、同乗した時に車線変更が怖かったりするので、何かある前に卒業してもらえないかと。

高齢ドライバーの事故のニュースが多いのも影響しているのかもしれません。交通事故数は減少傾向で、高齢者よりも若者の方が事故率は高いことは分かっているのですが、やっぱり歳が歳ですし、万が一近所の子供を轢いてしまったりしたら・・・と想像して不安になるのです。

高齢ドライバーの免許自主返納はあまり進んでいません。75歳以上の返納率は4.71%、特に交通網が発達していない地方で返納の遅れが見られます。しかし、家族でも説得はなかなか難しいようですね。厚労省の支援マニュアルに沿っていろいろ試してみたので読んでください。

それとなく、ほのめかしてみる

いきなり運転をやめろと言っても反発されるのは目に見えているので、それとなくほのめかしてみることにしました。池袋や大津など悲惨な事故が続いていることを雑談の時に話題に出せば、「俺もそろそろ考えようかな」となるかと思って。

結果、「高齢ドライバーの運転は危ないことは分かっているが自分は大丈夫」と考えていることが分かりました(;´Д`)

アクセルとブレーキ踏み間違えるやつの気が知れん、車が勝手に暴走するわけがない絶対に運転ミス、あんなのに当てられた方は気の毒だ、と憤っていました。「他人ごとじゃない、自分も気を付けよう」ではなく、「(自分とは違う)特別にダメな人が起こした事故」という認識のようです。

これ、説得を試みた家族ならよくある経験だと思います。

損保ジャパン日本興亜の調査によると、年齢が上がるにつれて運転の自信が高まることが分かっています。

年齢が上がるにつれ死者数は増加する一方、「運転に自信がある」という回答は65歳を境に上昇するみたいだね。

認めたくないのか、本当に自覚がないのか…

自分の運転技術に衰えを感じたなら、怖いからやめておこうと思う人は多いと思います。しかし自分はまだまだ、むしろ優れたベテランだと思っている人が、「危ないからもうやめて」といわれたら、驚いて怒りだすのも無理はないのかもしれません。

たまに聞く自主的に免許を返納した人の話がまぶしすぎる・・・!

代わりの移動手段を提案してみる

運転が危ないからやめてもらうという方向性はあきらめて、そろそろ自分で運転するのも大変だろうから、徐々に他の手段に移行していったらどうだろうかと提案する作戦でいくことにしました。代替手段とは、家族による送り迎え、公共交通手段、コミュニティバス、タクシーなどです。

これも、上手くいきませんでした。

  • 家族の送迎
    → 本人は1日3回好きな時に出かけたい、家族は週1回がせいぜい
  • 電車・バス
    → 田舎ではないが駅は遠く、出かけたい場所も車が便利なところばかり
  • コミュニティバス
    → 停留所は近く1時間に1本ペースだが、荷物が多いと大変
  • タクシー
    → 世代的にぜいたく品のイメージがあり、日常づかいはできない

義父はDIYやガーデニングが趣味で、ホームセンターは俺の庭くらいの勢いで買い物に出かけます。週に1回では食材を買い込むのがせいぜいで、園芸用の土や木材までは手が回りそうにありません。また、荷物も多くなるので、バスやタクシーでは不便でしょう。かといって私が毎日付き合うわけにはいかず・・・。うーん。

車はライフスタイルに直結するアイテムなので、「目的地に着けばいいじゃん」という問題ではないようです。

電動カートであるシニアカーも安全でいいよとか聞いていたのですが、義父は車にはこだわりがあり、仕事時代は高級セダン、趣味時代はSUVに乗るような人で、とても勧める気分にはなれませんでした。

自主返納による各種特典をアピールしてみる

高齢者の自主返納を促し、生活を支援するための方策として、返納者向けの各種特典が用意されています。「免許を返すとこんな良いことがある」ことを知ってもらうことで、自主返納に興味を持ってもらえるかもしれません。説得を考えている家族には役に立つのではないでしょうか。

具体的な支援策は都道府県ごとにこちらのサイトにまとめられています。

高齢者運転支援サイト(一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会)

私の住んでいる地域では、たとえば以下のような特典が受けられるようです。

  • 商店街や市場で店頭価格からの割引
  • 飲食店での割引、一品サービス
  • 郵便局でカタログ商品購入すると粗品贈呈
  • 各自転車販売チェーン店舗で出張修理無料(購入店のみ)
  • 宅配ピザの割引券
  • 銭湯・温泉の入浴料割引
  • デイサービス1回無料
  • お葬式プランを特別料金で利用可能

でも、本人に聞かなくても分かります。きっと運転を辞めてまで欲しいものはないです。

国や自治体もいろいろ頑張っているんだなってことは伝わりありがたい気持ちはあるのですが、もともと返納を考えていた人はともかく、車がなきゃ困ると考えている人に運転を諦めさせるには少し力不足かなと。

「商店街にある喫茶店のモーニングを10%オフにしてもらうために運転やめよう!」とはなかなかならないよね。

免許返したらお葬式代割引っていうのもちょっと…

ライフスタイルを一変させるような行動をとってもらうためには、新聞勧誘の景品レベルの特典では足りないかも知れません。もちろん、高齢者には損得ではなく「安全のために」免許を返納してもらいたいところですが。

車以外の生きがいがないか聞いてみる

車の運転って単なる移動手段ではなくて、自立の象徴や生きがいになっているケースが多いようですね。厚生労働省の調べで自動車を運転する意味について聞いたところ、半数以上が「単なる移動手段」と回答したものの、75歳以上では3割近くの人が「楽しみ」「生きがい」「自立を示すもの」の位置づけであることが分かっています。

参考・国立長寿医療研究センター「家族介護者のための支援マニュアル

車の運転を自分ですることに重要性を感じている人の場合、代わりの交通手段があることや、自主返納に特典があることはあまり意味を持ちません。「別の生きがいを見つけてもらうことが重要」と厚生労働省のマニュアルには書いてありますが、その生きがいの例として挙げられているのがこちら。

  • 生きがいづくり活動、デイサービス
  • 老人クラブ、敬老会
  • 介護予防教室、もの忘れ・認知症予防教室、 閉じこもり・転倒予防教室
  • 趣味の講座、娯楽の場
  • 運動・体操、健康づくり教室
  • ふれあいサロン、いきいきサロン、茶話会
  • 生涯学習、教養講座
  • 住民交流・世代間交流
  • ホームヘルプサービス、見守りサービス、 外出支援サービス
  • 入浴・温泉施設への送迎付きサービス
  • 宅老所、福祉センターでの活動
  • 貸農園での活動
  • シルバー人材センター、事業団登録、伝承活動
引用・国立長寿医療研究センター「家族介護者のための支援マニュアル

うーーーーーん。なんかうまく言えないけど、うーーーーーーーーん。

義父はやりたいこをとパッと行動に移すのが生きがいのような人ですから、生きがいを感じているものを取り上げて、「生きがいづくり活動教室に通え」というのも酷な気がします。もちろんそれで事故を起こして人様に迷惑をかけるのは絶対にダメなのですが。

生きがいや生活のうるおいは年齢問わず大切ですが、その生きがいに車が必要となっている場合は難しいですね。かといって家族がそれに代わるものを用意してあげるのも大変です。本当にどうしたらよいのでしょうか。

医者に説得をたのんでみる

こうなったら権威に頼むしかありません。義父は以前肺炎を患ったときにタバコをやめろと医者からいわれてすぐに禁煙をした人ですから、主治医が運転をやめろと言ったら、やめてくれるかもしれません。昔の人は医者の言うことには素直です。

親戚を通じて、今の主治医に免許返納をすすめてもらえないか頼んでみたところ、次の検診の時に話してみるとのことなので、すごく期待していました。

じいちゃん、先生に「骨密度が実年齢より20歳若いっていわれた」ってよろこんでた…

免許の話はーーー!?

後で詳しく聞くと、基本的には運転に支障をきたすような病状がない限り、医者が強制的に患者の免許証を取り上げる権限はないそうです。

たとえば統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚の低血糖症、躁うつ病、睡眠障害、それに認知症なら、医師が公安委員会に「この人ダメって言ったのに運転してますよ」と届け出をする決まりになっています。家族が認知症なのに運転をやめてくれなくて困っている場合はこの方法を採ってもらってください。

逆に言うと、認知症や運転に支障をきたすような病状がない限り、医者に免許停止の権限はありません。義父には認知症の症状はなく、上記の持病もありません。怒りっぽいのは昔からだし。したがって医者には助言をしてもらうくらいしかできないみたいです。

警察に説得をたのんでみる

こうなったら国家権力です。一般人に強制的に運転をやめさせる権限があるのは公安委員会です。警察庁は公安委員会の下部組織に位置付けられ、警察の下に交通局、その中に運転免許課があります。

75歳以上に義務付けられている認知機能検査や高齢者講習をおこなっているのもここです。免許更新ごとの認知機能検査で、認知機能低下の恐れなしと判断された場合は「第3分類」、ありと判断された場合は「第2分類」に該当します。認知症の恐れありは「第1分類」とされ臨時適性検査や医師の診断が必要となります。正式に認知症との診断が下った場合、免許は停止となります。

池袋の事故の運転手は、問題がないとされる第3分類でした。うちの義父も第3分類です。更新の時以外に事故を起こした場合も臨時で適性検査を受けなければなりませんが、駐車場でこすったくらいでは対象になりません。

もしかしたら警察署や運転免許センターには「運転適性相談窓口」で相談に乗ってもらえるかもしれません。ただ、すぐに免許をはく奪するのはかなり難しいと考えられます。

いっそ更新手続きを複雑化したらどうだろうか

結局どうすればいいのか、八方ふさがりです。このまま何もないことを祈りながら過ごすしかないのでしょうか。免許を返納は、老いへの恐怖やプライドがからむから難しいですよね。誰だって自分がダメになっていくのは認めたくありません。「年寄りは運転するな」と言い放つことは簡単ですが、現実にはそうスムーズにはいかないようです。

いっそのこと免許更新の手続きをあえてややこしくしたらどうでしょうか。75歳以上だけ。代理人不可で。「こんなに面倒なら運転はもういいや!」と思わせるくらいの煩雑さにして。

お役所のたらい回し精神をここで発揮してくれたらいいのに。

余談ですが、アクセルとブレーキの踏み間違えを防止するグッズがあるようです。

ペダルの見張り番(オートバックス)

発売当初は注目度が高かったのですが、最近は売り上げが徐々に落ち着いてきているようです。やっぱりお店の店員としても「お客さん!ペダルの踏み間違えでお困りでしょう!こんな商品ありますよ!」とは勧めにくいのでしょうか。


〜白金ちな〜

3児を育てるFP母。キラキラ派でも自然派でもない快適な暮らしを模索中。料理は美味しく作るより美味しそうに食べるほうが得意。自分の意見はしっかりしているけど争いごとは嫌い。手触りのいいものが好き、羊とか。面食いじゃなくて麺食い。


〜ラムチョップ〜

ちなにしか姿が見えない賢い羊。ちなの疑問や不満に豊富な知識で答えてくれる。体は子羊、頭脳はAI。時々暴走するちなの抑え役だが、いちばんの理解者でもある。眠れない人の目の前で何度も柵を往復して100回以内に寝かせるのが得意。1歳違いの兄の名前はマトン。