引越しが急きょ取り止めに!
キャンセル料は払うべき?
2018年の6月から引越しの解約・延期料が値上げされるということで、運送業界ではちょっとした話題になっていました。それだけ引越し会社は度重なるキャンセルに頭を痛めていたのですね。引越し中止や延期になってしまった時は、いつからキャンセル料がかかり、どのくらいの金額になるのか、新しい基準で試算してみました。
キャンセル料がかかるのは2日前から
標準引越運送約款の「解約手数料又は延期手数料等」の改正により、引越しのキャンセル料金は以下のように規定されました。
改正前 | 改正後 | |
当日 | 運賃の20%以内 | 運賃及び料金の50%以内 |
前日 | 運賃の10%以内 | 運賃及び料金の30%以内 |
前々日 | – | 運賃及び料金の20%以内 |
変更のポイントは3つです。
- キャンセル料が一律アップ
- 引越し2日前までOKだったのが3日前までに
- 運賃に対してだけでなく人件費なども含めた料金が対象に
まず、掛ける割合が10~20%から20~50%と大幅に引き上げられています。また、改正前はキャンセル料が前日から発生していましたが、改正後は前々日、つまり3日前までに伝えないといけないことになっています。
そして大きいのが「運賃及び料金」の部分。これまでは「運賃」に対してのみ発生していたキャンセル料が、引越し料金全体にかかるようになりました。引越し料金は「運賃」と「作業員料」と「実費」から成っており、作業員料は荷物を運ぶスタッフの人件費や荷造り・荷解きスタッフの人件費を指します。
解約手数料イメージ(当日キャンセル)
運賃=3万円、人件費=5万円、資材など実費=5,000円
- 改正前 → 3万円×20% = 6,000円
- 改正後 → 3万円×50% + 5万円×50% = 4万円
こうやって計算してみると、けっこう大幅な変更であることが分かります。当日キャンセルともなると、引越さなくても引越し代の半額は払わなくてはならないことになります。
なぜこのような改正が行われたのかというと、業者にとって直前のドタキャンというのは非常に痛いことなんですね。
業者は限られたスタッフとトラックを綿密にスケジューリングして仕事を請負っています。
急に取りやめになってしまうと、それらの人員と設備がムダになってしまうんです。
日程変更でも延滞料は同じ!
では、キャンセルするのではなくて延期するのではどうでしょうか。ホテルの宿泊料などでは変更であればキャンセル料は発生しないことが多いのですが、運送業界では違います。引越しの場合、解約手数料も延滞手数料も同じ設定になっています。
お客からしてみるとちょっと日付をずらしただけなので罪は軽いと考えてしまいますが、先ほども述べましたように業者は人員と資材を綿密なスケジュールで手配しています。1日でもずれたら大きな痛手なのです。
既にダンボールを受け取っていると3日以上前でも手数料
引越しでは契約した時にダンボールやガムテープを先に渡してくれる時があります。
ダンボールは無料サービスですが、キャンセルするとどうなるのでしょうか? 業者によって対応方法はまちまちですが、基本的に無料で引き取ってくれることはありません。
キャンセル時の一般的な資材の扱い
- 使用した資材は買い取り請求
(ダンボールS300円・M350円、テープ300円、など) - 未使用の資材は発払いで郵送(量によって3,000円以上も)
- 有料で回収(ハート引越センターの場合手数料3,150円)
まず、引越し業者も商売なので、利益が見込めない客のためにダンボールを引き取りに来てくれたりしません。使ったものは買い取りになり、未使用なものは発払いで郵送または持ち込みになります。
ダンボールも50箱分ともなると送料もそれなりにかかるでしょう。買い取り料金や送料は引越し3日以上前でも関係なく発生します。
つまり、先にダンボールを受け取ってしまうと、早めに断ってもキャンセル料は発生してしまうわけですね。
実際のところ、業者は顧客のキャンセル防止のためにダンボールを置いて行っているという話もあるくらいです。
国民生活センターによく寄せられる苦情
国民生活センターには、
という苦情が多く寄せられています。契約をキャンセルされた場合に業者がダンボール代を請求するのは違法ではありませんが、説明不足であったり、客側が規約をよく読んでいなかったりしたために「不当な請求」と受け取られることが多いです。
また、客側としては見積りだけのつもりだったのが、業者は契約成立とみなしていたというケースもあります。
こういったトラブルを避けるためには、ダンボール代が条件付きで無料になっていないか、見積書をよく確認するようにしましょう。
キャンセルは誠意をもって
勤め先の都合やスケジュールの問題で、引越しがキャンセルになったり延期になったりすることは仕方ありません。しかし「キャンセル料払うからいいか」と連絡なしにキャンセルすることは社会人として感心できる行動ではありません。
どんな理由でも、キャンセルの連絡は早ければ早いほど良いです。
そこで働く人のために、誠意をもって対応するようにしましょう。