家庭訪問いらない派だったけど、
やっぱりいるかもと思った理由
小学校に通う子供の家庭訪問がありました。もう何度もやっているので慣れましたが、1年生の時は「家庭訪問ってまだやってるんだ!?」って驚いたものです。
今日は家庭訪問!
ええと家じゅう掃除して、間に合わないからダスキン呼んで、新しいスリッパ出して、お茶出し用の食器買いに行って、お寿司注文して、どうしよう表札も付け替えた方がいいかな!?
落ち着いて!娘の結婚相手が初めて挨拶に来るみたいになってるよ!
家庭訪問ってお互いに面倒だしやめちゃったらいいのにと思う一方で、これ以上学校と家庭の交流が減っていいのだろうかという懸念もあります。家庭訪問は何のためにするのでしょうか?やめたらどんな不都合なことがあるのでしょう?ちょっと考えてみましょう。
目次
家庭訪問「いらない」が7割
保護者も先生も忙しい時代だし、プライバシーにも配慮が必要なご時世になってきたので、てっきり家庭訪問なんてなくなっているとばかり思っていました。しかし現実には小学校1年生の83.3%で家庭訪問を実施しています。廃止している学校も増えてきたとはいえ、まだまだやるのが一般的なのですね。
とはいえ、時代に合わせて家庭訪問は簡素化・短時間化しています。昔は先生をリビングや応接間にまでお招きして、お茶やお菓子を出してけっこう話し込んでいた覚えがあります。あと予定時刻はあってないようなものでしたね。先生が1時間も遅れているので、近所まで探しに行ったこともあったような。
時代とともに、家庭訪問は必要性が疑問視される行事になりつつあるようです。ベネッセ教育情報サイトの調査によると、家庭訪問をして欲しいと思うかという問いに対して、「あまりそう思わない」が44.0%、「そう思わない」が26.6%と、約7割の人がやって欲しいとは考えていないことが分かります。
この結果は分かる気がします。
小学生の保護者をしていると先生がいかに忙しいか目の当たりにしているので、わざわざ足を運んでもらうのは申し訳ない気持ちになります。それに、表面的にはただ雑談をしているだけのような内容なので、働くママとしては「仕事を休んでまでやることか?」と思ってしまいますよね。
やめた方がいい派の意見
家庭訪問の必要性をあまり感じないという層からは、「学校での面談と変わらないから」という理由が多く挙げられています。この時期は参観や懇談も別途おこなう学校が多いですから、似たような行事が重複しているようでムダな感じがしてしまうんですよね。
家庭訪問をしてほしいと思わない理由
学校での面談と変わらない(76.4%)
掃除などの準備が大変(49.4%)
あまり先生と顔を合わせたくない(2.2%)
その他(8.0%)
フルタイムで働いている人なんか、参観と懇談で有給使ったのに、家庭訪問のためにさらに仕事を休むなんて無理だよ!
しかも日程が分かるのが1週間前ってひどくない!?
そうなんですよね、昔は専業主婦が家にいて当たり前だったから、家庭訪問に疑問を挟む人なんていなかったし、連絡が直前だろうが時間がずれようが話す時間が長かろうが問題ありませんでした。でも共働き家庭が増えている現代において、たかが10分のために仕事を休むのは負担が大きいでしょう。
また、「自宅を見にいく」ってよく考えたらプライベートな領域に入っていくことなので、そのあたりに抵抗感がある人がいてもおかしくないです。掃除が大変なのは私が普段からサボっているのが良くないのですが、誰かが訪問してくることによる「気忙しさ」のが一番大変かなと感じました。
先生の負担も大きいよね。ただでさえ5月はGWで授業数が少なくてスケジュールがぎゅうぎゅうなのに、何日間も家庭訪問のために授業がつぶれるもんね。
最近の家庭訪問は「お茶出しNG」「玄関先OK」が当たり前!
うちの子の小学校では、「お茶やお菓子は遠慮します」との通知があらかじめありました。出すのか出さないのか、出すなら何を出すのか迷わなくて済むので、こういった配慮はとても助かります。「お茶出し無用」はもはや常識のようです。
私が小学生のころは私がお茶菓子を買いに行って、緊張しながらお盆に乗せて出した覚えがあります。食べてくれるかなー、食べてくれなかったら後で私が食べてもいいのかなーとか考えながら。
生徒30人分のお茶とお茶菓子全部たいらげていたとしたら、先生すごすぎ!
訪問時間も短くなっていて、今では10~15分が一般的です。10分じゃ「粗茶ですが…」ってやってる時間なんてないですよね。時間も1分単位でぴったりでした。
訪問場所については、うちは玄関が狭いためリビングまで入っていただきましたが、最近ではリビング派と玄関派で半々のようです。あらかじめ「玄関先で失礼します」とプリントで知らせる学校もあるようです。
玄関先で済むなら、掃除もラクだよねー。
家庭訪問って何のためにするの?
そもそも、家庭訪問って何のためにあるのでしょうか。学校や先生の教育方針を話したり、子供のことについて情報共有するためだけなら学校での懇談で事足りるはずです。わざわざ、初夏の日差しが厳しい時期に、先生が靴底減らして各家庭に赴く意味とは?
どうやら、文科省から「家庭訪問しなさい」と決められているわけではないようです。ただ長年の慣習として、以下を目的として実施されてきた経緯があります。
- 担任と保護者の顔合わせ
- 自宅の場所と通学路の確認
- 家庭の状況を把握
(1)はまあ分かります。今後協力して子供を育てていく者同士コミュニケーションは大切ですから。ただ自宅である必要性は薄いかも知れません。(3)がメインだと考えていた人は多いのではないでしょうか。
どんな家庭環境で育っているのか、虐待やネグレクトの兆候はないかなど、姑のようにチェックされるのではないかという。実は先生側はあまり家の中の状況は気にしてはいないようです。
極端な家なら問題行動や虐待の予防のヒントにはなるかもしれませんが、先生も探偵ではないので、少なくともちょっと散らかっているだけでマークされるなんてことはありません。
実は(2)の生徒の自宅の場所や行き方を確認する意味合いがけっこう大きいようです。災害やケガや病気などの緊急時にいちいち調べる時間はないでしょうから。この話を聞いた時、「あの手書きの地図はこのためかー!」と目からうろこが落ちました。
入学や新学年の時に、書類に自宅までの行き方の地図を手書きさせられませんでしたか?学校にもよるかもしれませんが、家庭訪問の際に参照することが多いそうです。
手書きの地図について、ツイ友さんと面白いやり取りあったので見てください(笑)
あの手書きのレトロな書類にGoogle MapのQRコード貼ってあったらめちゃくちゃシュールですよね(笑)。一度やってみたいけど、怒られるんだろうなぁ。
それでも家庭訪問が残る理由
あまり評判が良いとはいえない家庭訪問ですが、それでも今のところは実施するところが大半を占めています。残す理由は何でしょうか。
残す決定をした校長先生へのインタビューによると、「子供がどんな環境で過ごしているか、その場に行って感じてくることが大事」という理由が挙げられています。情緒的なようですが一理あります。直接的な効果がなくても、今後のヒントになることはなるべく多く把握しておきたいという学校側の熱心な姿勢がうかがえます。
通学路や自宅の位置は確かにインターネットで検索することができますが、緊急事態の時に端末が手元にあるとは限らないし、やっぱり頭の中に叩き込んでおくのが確実にスピーディです。
保護者側からすると、子供に提出させる調査書に書くことや、他の人がいる学校では話しにくいデリケートな問題もあるかもしれません。ある程度打ち解けてからでないと話せないことってあるものです。自宅ならリラックスしていつもできないような話でも切り出しやすい可能性もあります。
つまり、いざという時に学校と家庭が協力しやすいように、普段から関係を築いておく活動のひとつなんですね。だから、目に見えて分かりやすい効果がないように感じられても、続けるところが多いのではないでしょうか。
自宅と通学路の把握と、先生と保護者の関係づくりが目的なんだね!
個人懇談に移行する学校も
私も、大変だからと言って家庭訪問を単純になくすだけではダメかなと思います。PTA活動も縮小される流れにあって、それによって親が学校に顔を出す機会が少なくなり、家庭訪問もなくなりでは、先生と保護者がお互いに何も知らない状態で子供を通わせることになってしまいます。
会話でも、知らない人といきなり深刻な話しないじゃないですか。挨拶から始まって、雑談をして、お互いのことをある程度分かってから、「実は・・・」と真面目な相談ができる関係になります。それと同じで、子供に何か問題が起こった時に、あの家庭の子だなと知っているのと、誰が親なのかを知らないのとでは、スタート地点が違います。
じゃあそれを実現する形として家庭訪問がいいのかというと、それはまた別の問題。何とか、負担を少なくして同じ効果を得る方法はないものでしょうか。
最近では、
- 家庭訪問を廃止して個人懇談にする
- 家庭訪問か個人懇談かを選べる
- 自宅と通学路の確認は別途先生がおこなう
といった学校も増えてきているようです。ただ、これだと昼間仕事を休まないといけないのは同じですよね。
家庭訪問にIT活用はどうだろう
Web会議にすればいいのね!お互いの顔も見れるし、書類も共有できるし!
最近は便利な会議ツールがいっぱいありますよね。Zoomとかは送ってもらったURLをクリックするだけだったからSkypeより断然使いやすいです。これならスマホかパソコンさえあれば自宅からでも仕事先からでも会話できますよね。
それいいね!それでも使い方が難しかったら電話でもいいし。
先生が走り回ってだと10分くらいしか話す時間がありませんが、電話だったら15分はゆっくり話せるんじゃないでしょうか。あ、でも職員室だと他の先生もいるから、個別ブースが必要になってきますね(笑)
これからは医療行為もITを使ってリモートでおこなえる時代ですから、教育もどんどん進めていったらいいと思うんですよね。先生と無理なくコミュニケーションをおこなう方法、皆さんはどんな案が思い浮かびますか?