子ども食堂はあの頃の私を救えたか
~ファミマ子ども食堂への批判と支援の難しさ

白金ちなは昔、「お腹を空かせた子ども」でした。貧乏だったわけではないのですが、家が荒れていたため十分な食事が摂れなくて、いつも食べることばかり考えていました。学校の給食が一番のごちそう、お菓子は原則禁止だったので、お友達の家でもらえるおやつを目当てに遊びに行ったりしていました。

当時は「子ども食堂」なんてありません。家でご飯が食べられない子どもがお腹を満たせる場所なんて存在しませんでした。そんな私を大いに救ってくれたのが、近所のスーパーのレジのおばちゃんがこっそり渡してくれた賞味期限切れの菓子パンです。

今から思えば何ともみずぼらしい情けない話ですが、あの時の私にとっては菓子パン1つが本当に貴重でした。甘くて、ボリュームもあって、十分に人の優しさを感じました。しょっちゅうお店の裏に取りに行っては、人気のない場所で食べました。バカみたいに麺類を好きな時に食べている今の私からは想像もつかない生活です。

そんな白金ちなが、ファミリーマート参入で話題になっている子ども食堂について考えたことがあるので記事にしました。

「子ども食堂」があれば当時の私は救われたか?

子ども食堂は全国に2,200カ所以上あります。ここ2年で7倍以上に増え、年間延べ100万人の子供が利用しています。100万人って1学年の人数よりも多いですからね、延べとはいえ。すごい勢いです。

常にお腹をすかせていた当時、子ども食堂があれば私は救われたのかどうか考えてみました。結論からいうと、おそらく難しかったと思います。なぜなら、子ども食堂の多くが月1回程度の開催もしくは不定期開催だからです。

子ども食堂運営者へのアンケートによると、48.5%が月に1回程度、24.5%が2週間に1回程度しか受け入れていません。食材費も人でも必要な慈善活動では、このくらいが限度なのかもしれません。

もうひとつはお金の問題です。子供の参加費は無料にしているところが多いのですが、中には100円~300円程度の参加費を徴収しているところも少なくありません。当時小学生だった私には毎日払うにはきびしい金額です。

また、場所の問題もあります。子ども食堂の設置場所は都市部に集中しています。全国2,286カ所のうち、東京が335件、大阪が219件、神奈川が169件と圧倒的です。子供が自分の足で行ける場所に子ども食堂があるのは、かなりラッキーなほうといわざるを得ません。

何しろ毎日お腹がすいていたから、月1回でしかも有料の食堂では助けにはならなかったかも。菓子パンはいつでももらえたからね。

子ども食堂はどこも運営が厳しいから、そうそう頻繁に開催できない事情があるんだよねー

思っていたよりも幅広い人が集まる子ども食堂

私は、子ども食堂は腹ペコの子どもがそこに行けばいつでも食べ物にありつける、「施しの場」のように考えていました。しかしいろいろと調べてみると、実際には食育体験地域のイベントに近いように思います。どうやら、子ども食堂には以下の2つの役割があるようです。

  1. 貧しい子供への食事提供・・・格安でバランスの取れた食事の提供
  2. 子どもの孤食を防ぐ・・・地域のつながり、親の負担軽減

私がイメージしていた子ども食堂は(1)です。同じ考えだった人は多いのではないでしょうか。

しかし、運営者へのアンケートでは、「共食の場を提供」「子供たちの地域での居場所づくり」を目的としているところが最多になっています。つまり、(2)を重視しているところが多いのですね。

子どもの孤食を防ぐことが目的の子ども食堂では、利用者を貧困家庭に限定しません。その代り料金を徴収します。現場の風景も「一杯のかけそば」的なわびしさはなく、ちゃんとした身なりの子たちのサークル活動のように見えます。

実際に行った人の体験談でもその様子がうかがえます。

子どもが1人でご飯を食べるのが心配だからってこういうところに申し込みに来る親って、めちゃくちゃまともだよね!?

うん。思ったよりいろんな家庭を対象にしてるんだね。

「気軽に使える」にタダ乗りする人も多い

でも、本来であれば満足に食べられないほど貧乏な子や、親がネグレクトで食事を用意してもらえない子を支援するのが子ども食堂の役割だったはず。どうしてこんな食育サークルみたいなノリにしてしまうのでしょうか。それには深い理由がありました。

子ども食堂を運営する人のレポートによると、

“『貧困』が強調されると、利用者にレッテルが貼られてしまうと心配する声もある”

“支援を必要とする子どもたちに食堂へ足を運んでもらえるかどうかは、多くの運営者が抱える悩み”

とあります。

なるほど、貧しい子専用のレッテルを貼られてしまうと、本当に支援が必要な子が来てくれないことを心配してるんだね。

しかし、幅広い人を対象にして敷居を低くしてしまうと、本来支援なんて必要のない人が来てしまうことも運営者にとっては共通の悩みの種のようです。先ほどの記事にもこんな記述があります。

“「子どもの“孤食”や貧困」を避けるための「子ども食堂」なのに、「手間が省けるから」と街中にある食堂を利用する気持ちで子どもを連れてくる親もいる。”

貧困でも孤食でもないのに安いからって子ども食堂を利用されたら、あっという間につぶれてしまうよ!

私は自分が食事に困っていた子だったことから、子ども食堂の運営を本気で考えたことがあるのですが、きれいごとでは済まない運営者の現場を聞いて、「どうして困っている人を助けたいのに、違った意味の困った人のためにこんなに苦労しなくちゃいけないの・・・」という気分になってしまいました。

ファミマ参入に賛否両論あった理由

ファミリーマートが子ども食堂の取り組みを開始するという発表には、各方面から批判と賛同が寄せられました。私はというと、「いいじゃん!」としか思いませんでした。好きなご当地カップラーメンを棚から取ってイートインで爆食いしている小さい自分を想像して、何それパラダイスかと。

ファミリーマートが発表したプレスリリースによると、さすがにどうも違うようです。

■「ファミマこども食堂」の概要
概要:ファミリーマートの店舗スペースを活用し、
近隣のこどもや保護者を対象に食事を楽しむ取り組み
対象:店舗近隣にお住まいのこども、及びその保護者
(小学生以上は保護者の同意があれば1人でも参加可能)
参加人数:約10名/回
参加料金:こども(小学生以下)100円、 保護者(中学生以上)400円
プログラム:オリエンテーション/みんなとお食事(約40分)
体験イベント(約20分)

これを読んだ瞬間、私は即座に「あ、これ“ファミマお仕事体験”だ」と思いました。よくマクドナルドや宅配ピザとかで、子どもを対象にお仕事体験ってやってるじゃないですか。実際の店舗に行ってユニフォーム借りて、ピザ作ったり接客したりしたあと、みんなで試食するやつ。

もちろん悪い取り組みだとは思わないし、企業がCSRの一環としてこういったイベントをやることはまったく問題ないと思うんですよ。実際ファミリーマートは食品リサイクルやベルマークなど社会貢献活動をこれまでも行ってきています。でもネーミングを「こども食堂」ってしちゃったのが良くない。

私がそう思っていたように、多くの人が子ども食堂のことを「貧困対策」だと捉えています。しかし「ファミマこども食堂」は貧困問題には一切触れず、地域の子供達との交流を前面に押し出しています。つまり子ども食堂の明るい部分だけ。

これには、これまで草の根運動として地道にやってこられたNPOや社会福祉法人の方からすると、面白くないという気持ちがあってもおかしくありません。

単なる施しにならないよう、それでもセーフティーネットになれるよう、食材と人員の確保に苦労しながら徐々に広がってきた子ども食堂と、ファミマのそれとはずいぶん性質が異なります。

ただ、「手作りの温かい食事」と「献身的な交流」がないとダメとしているのはやや押し付け気味かと思いました。

支援団体が考える疑似家庭のような理想とは違っても、大企業が参入することで子供がアクセスしやすい場が増えることは歓迎すべきことなのではないかと思います。なにしろ今の子ども食堂では、数と頻度が圧倒的に足りないのです。

賞味期限切れの菓子パンがありがたかった私にとって、提供されるのがコンビニ弁当でも手作りのあたたかいごはんでも、正直どちらでもいいのですが・・・

でも貧困対策にずっと取り組んできた人たちが『一緒にすんな!』っていいたくなる気持ちも分かるよねー

子ども食堂に子どもの意見は反映されているのか?

実際に利用する立場である子どもたちは、子ども食堂のことをどう思っているのでしょうか?運営者側のアンケートや公的な調査、パネルディスカッションなどはよく催されていますが、子どもの意見がなかなか見えてこないのが気になるところです。

1つだけ、子ども食堂について小学生に向けたアンケートがありました。

近くに子ども食堂があったら、いってみたいですか?

はい(65%)



どちらでもない(21%)



いいえ(13%)




子ども食堂に行くとしたら、どんな時にいきたいですか?

子どもだけでご飯を食べに行きたい時(55%)



お母さんお父さんなど親、保護者の帰りが遅い時(41%)



一人でご飯を食べる時(28%)



お腹が空いている時(20%)



その他(6%)


このアンケートからは以下のようなことが分かります。

  • 行きたいと思っている子は多い
  • でも行ったことがある子は少ない
  • ひとりでごはんを食べるのは寂しいと思う子は多い
  • でも子どもは子どもだけで食べたいと思っている

ここからは完全に私の勝手な推測なのですが。子どもって孤独はいやだと思っていても、大人からあれこれ世話を焼かれるのもうっとうしかったりするものではないでしょうか。

知らない人が多い中で、ハイみんなで和気あいあいとごはん食べましょうといわれ、配膳やマナーについていちいち指図され、頼んでもないのに昔遊びを教えてやるといわれたら、面倒だからやっぱり家でYoutube観ながらラーメン食べよっとってなりませんかね。友達がいないとキツイでしょう。

明らかに訳ありな感じの私に、何も聞かずにそっとパンを渡してくれたおばちゃん。「おうちの人は何て言ってるの?」「学校に相談した方がいいんじゃない?」「今から一緒にお役所いったげようか?」なんてことを1回でもいわれたら、もう私は寄り付かなかったでしょう。

「子どもを支援するって、難しいことなんだなぁ」って、つくづく思いました。


〜白金ちな〜

3児を育てるFP母。キラキラ派でも自然派でもない快適な暮らしを模索中。料理は美味しく作るより美味しそうに食べるほうが得意。自分の意見はしっかりしているけど争いごとは嫌い。手触りのいいものが好き、羊とか。面食いじゃなくて麺食い。


〜ラムチョップ〜

ちなにしか姿が見えない賢い羊。ちなの疑問や不満に豊富な知識で答えてくれる。体は子羊、頭脳はAI。時々暴走するちなの抑え役だが、いちばんの理解者でもある。眠れない人の目の前で何度も柵を往復して100回以内に寝かせるのが得意。1歳違いの兄の名前はマトン。