【特集】新型コロナ一斉休校
〜無料化された家庭学習サービス一覧


新型コロナウイルスによる小中高一斉休校の衝撃から1週間ほどたちました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

保育園と学童保育は開いていますが、幼稚園に通う子供や小学3年生以上の子供がいるご家庭では、長い1日をどうやって過ごしてもらうか頭を痛めていることと思います。特に授業も宿題もなく塾も休講になっている状態で、勉強面をどうカバーするかは気になるところ。私も色んな教材やオンラインサービスをしらみつぶしに調べました。

たくさんの企業が支援サービスを発表しててびっくり!

全国の保護者の悲痛な思いを受けて、教育サービス各社は休校期間に合わせて通常は有料で提供しているサービスの無償化を次々に打ち出しています。総理大臣が記者会見で一斉休校を要請したのが2月29日、無料化などの支援サービスがスタートしたのは早いところで3月2日、すごいスピード感です。

宣伝を兼ねていたとしてもありがたいよね!

というわけで、現在特別に無償化されている家庭学習サービスをまとめてみました。なお、今回ご紹介するのは個人向けサービスに限っています。学校や塾、学童保育向けに展開されたサービスについては除きました。

学校の勉強をカバーするサービス

新型コロナウイルスによる臨時休校を受け、名だたる教育サービス企業が支援策を発表しています。主だったものはこちらです。

学研GAKKEN

【内容】 ICT教材・学習百科事典・授業動画・絵本アプリ・電子書籍など
【対象】 小学生、中学生、高校生
【期間】 3/2~3/31(終了)


学研は大盤振る舞いです。通常なら有料のコンテンツを、期間限定で無償提供してくれています。

内容は学習指導要領に対応した解説ムービーやドリル、有名な学研図鑑の電子版、「やさしくまるごと小学」シリーズ授業動画、中学生向けの「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズの授業動画、電子書籍サービスなど多数のコンテンツが利用可能。幼児向けの絵本もあります。

中高生向けには音楽と勉強を融合した「ボカロで覚える」シリーズなどユニークなものもあります。コンテンツ力はさすがですね。


進研ゼミ

【内容】 オリジナル教材、Webドリル、電子書籍サービス無償提供
【対象】 小学生、中学生、高校生
【期間】 3/2~


株式会社ベネッセコーポレーションが運営する進研ゼミも支援に乗り出しています。

小学1年生から高校2年生までの「春の総復習ドリル」のPDFダウンロード、Web上でできる漢字・計算ドリル、進研ゼミ会員だけが自由に使える電子図書館サービスの会員外への提供を期間限定でおこなっています。

こちらもさすがの充実度。勉強だけでなく読書でも活用できそうです。


まなびwith

【内容】 2019年度教材をPDFで無償提供
【対象】 小1~小6
【期間】 3/2~3/31(終了)


小学館の通信教育「まなびwith」は小学校1年生から6年生までの2019年版学年総復習号の無償ダウンロードを3月中おこなっています。

教科は国語と算数、たとえば6年生の国語で47ページとけっこうなボリュームがあります。もちろん解答・解説付きです。

ダウンロード以外にも2019年度教材の4月号から2月号のうち好きなワークブックを1冊無料で送ってもらえるサービスもあったのですが、3/5時点で在庫がなくなり終了しています。


Z会(小学生)Z会(中高生)

【内容】 通信教育教材の一部を無料公開
【対象】 小学生、中学生、高校生
【期間】 3/2~


かの有名なZ会の通信教育の教材が無償でダウンロードできます。内容は小学1~2年生は国語と算数の自習用ドリル『ドリルZ』(スタンダード・3月号)です。

小学3~6年生は算数と理科の「学習の要点」(スタンダード・2月号)、学校で使っている教科書名を選んで使うことができます。ボリュームは10~20ページほど。

中高生は学年や中高一貫校か高校受験かといった進路によって内容が分かれています。教科は英語・国語・数学が中心、受験生に対しては理科や社会も提供されています。真面目で難しめなZ会!って感じです。


「なっとQ〜」シリーズ

【内容】 算数の教材をPDFで無償提供
【対象】 小学3〜6年生
【期間】 ~8/31(終了)


少し気になる教材を紹介します。提供元の株式会社レヴィは、JAXA宇宙科学研究所で博士号を取得した仲間たちが立ち上げたベンチャー企業です。

無料でダウンロードできる「なっとQ〜」シリーズは、算数を愛する東大出身の3人が企画した教材で、書籍版は小学館から1,100円(税込)で出版されています。

計算力はあるが文章題(文章の形式になっている問題)が苦手な小学3〜6年生向きにつくられていて、子供の好奇心をくすぐる構成になっています。特に算数が苦手な親御さんには助かるのではないでしょうか。

元JAXAの研究生たちが、どういった経緯でこの教材を出版するようになったのか興味深いですね。


okedouokedic

【内容】 YouTubeの数学動画検索・数学辞書
【対象】 高校生
【期間】 無期限


東京大学卒の二人組「SpesDen」が立ち上げたWEB教材です。YouTube学習動画検索プラットホーム(okedou)で数学辞書(okedic)を連動させながら学習できるサービスです。

okedouはYouTube上にある高校数学を網羅した教育系YouTuberによる学習動画3000本から目的に合った動画を見つけやすい検索サービスで、授業でわからないことがあれば画面上で連動したokedicで詳細を学ぶことが可能です。

特に数学辞書okedicは、数学の公式や定理をわかりやすく詳細を説明してくれるので、okedic単体で利用するのもおすすめです。



学校以外の教養番組、IQトレーニングやプログラミング、英会話まで

学校の勉強だけが勉強ではありません。時間が潤沢にあるこの時期だからこそ、いつもとは違う学びがあってもいいかも知れません。

NHK for School

【内容】 教育番組の動画
【対象】 小学生、中学生、高校生
【期間】 無期限


NHKの教育現場向けデジタルコンテンツを提供する「NHK for School」は普段から無料で利用できるため、新型コロナウイルスで無償化されたわけではありませんが、内容が充実しているのでぜひ活用したいサービスです。

今回の一斉休校を受けて、特設ページ「おうちで学ぼう!」が用意されています。自分専用のプレイリストが作れるので、時間割を作ってピックアップしておくと良いでしょう。


Think!Think!(シンクシンク)

【内容】 ミニゲーム形式のアプリ教材
【対象】 4歳から10歳またはそれ以上
【期間】 1ヵ月間(終了)


ワンダーラボ株式会社が提供する、思考力アップのためのアプリ教材です。

「空間認識」「平面認識」「試行錯誤」「論理」「数的処理」など、学校の勉強とは違うIQテストのような問題で構成されています。

期間限定の無料版は1日3プレイまで。10分ほどで終わってしまいますが、毎日継続すると毎1ヶ月で3,000問に挑戦したことになります。デザインもかわいくて直感的に操作できるのがいいですね。


アポロン

【内容】 プログラミング学習ツール
【対象】 小学生、中学生、高校生
【期間】 3/31まで(終了)


インターネット環境さえあればどこでもScratchの勉強ができるオンラインプログラミング学習ツール「アポロン」を無償提供しています。

プログラミング学習にはまとまった時間が必要なので、臨時休校中は良い機会になるでしょう。


ネイティブキャンプ英会話

【内容】 オンライン英会話レッスンの無償提供
【期間】 3/5~3/31(終了)


株式会社ネイティブキャンプは、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の生徒を対象に平日9時~17時まで、オンライン英会話レッスンを無償で提供すると発表しました。

DMM英会話も同様の発表をしましたが、こちらは学校向けです。ネイティブキャンプは優待コードを使って個人がすぐレッスンを開始できます。


TerraTalk(テラトーク)

【内容】 AI英会話アプリ『TerraTalk(テラトーク)』の間限定で一部無償提供
【期間】 3/2~3/31(終了)


英語のスピーキング力をAIが総合的に診断してくれるアプリ。

ロールプレイング型のミッションが与えられ、表現や発音がどのくらいできているか判定してもらえます。チャット型のインターフェイスを見ながらAIと音声でやり取りをする新しい英語学習法で、とても面白そうですよね。

好きな場所で好きな時間だけ使えるのも便利。ただ、まったくの初心者には向かないかも知れません。

自宅にいても誰かと対話できるオンラインサービス

教材や勉強ツール、プリントなどはたくさんの種類があることが分かりました。しかし、ずーっと家にいて一人で黙々と勉強するのって苦痛ですよね。たまには誰かと話したり、意見を交換したりしたいもの。

カタリバオンライン

【内容】 Web会議システム「zoom」を使ったオンライン会議の場
【期間】 3/4~


動画コンテンツをただ一方的に視聴するだけでなく、少人数で双方向にやりとりすることができるサービスです。利用時間は平日の朝9時半~16時半。全国各地の同世代の仲間たちと自由に話すことができます。

朝夕にサークルタイムがあり、10時~16時は各自参加したいプラグラムを選びます。プログラムには音楽系や勉強系、英語系や体育系などさまざまなものが。

知らない子供同士のネット上の会話には不安もあるかもしれませんが、必ずキャストと呼ばれる大人が見守る決まりになっているので安心です。



あり余った時間にありがたいエンタメ系サービス

タイトルは「家庭学習」ですが、1日7時間も8時間も学習しませんよね(笑)。ひまつぶし向けに今だけ無料化されている娯楽系サービスも紹介しておきます。これ以外にもありますが、「子供が読むにはどうなの?」なコンテンツが含まれるマンガ雑誌もあるので注意してくださいね。

小学館「日本の歴史」のシリーズ

【内容】 学習まんが「日本の歴史」全24巻が無料公開
【期間】 3/11~(終了)


発売から37年、累計2020万部を突破した日本一売れている学習まんが「日本の歴史」のシリーズ(全24巻)が無料公開中です。正式名称は「小学館版学習まんが 少年少女日本の歴史」です。

大人でも十分楽しめる内容なので、一度特設サイトをご観覧されてみてはどうでしょうか。


ヨメルバ

【内容】 角川つばさ文庫&角川まんが学習シリーズ、人気作200冊以上を無料公開
【期間】 3/2~4/5(以後も400冊以上の本を無料公開中)


「角川つばさ文庫」とは株式会社KADOKAWAが発行する児童向けの文庫小説です。ライトノベルに近いですが、表現やテーマは子供向けに配慮して作られています。

「角川まんが学習シリーズ」は学校図書館でも定番ですね。『日本の歴史』シリーズ、『どっちが強い!?』シリーズ、『まんが人物伝』シリーズなど超有名シリーズも無料の対象です。


週刊少年ジャンプ

【内容】 デジタル版バックナンバー13冊を無料公開
【期間】 3/2~3/31(終了)


時代についていけていないのか、少年ジャンプにデジタル版があるって知りませんでした(笑)。2020年1号から13号までの13冊分がまるまる無償で公開されています。

『ONE PIECE』『鬼滅の刃』『ハイキュー!!』などの人気連載が無料で読めます。このボリュームは、保護者はともかく子供には嬉しいでしょう。

1週間小学生の自宅学習を見てきて思うこと

小学生の娘2人が休校で家にいる私がこの1週間で痛感したこと。それはインプットの材料は多いけどアウトプットの場が少ないことです。学習教材はけっこう世の中に充実してきていて、プリントも授業動画も無料有料問わずたくさん配信されています。何時間もひとり学習が大丈夫な子なら、それだけで十分やっていけるでしょう。

しかし、プリントや授業動画は「入れる」作業であり、それらを「出す」作業はテストくらいしかありません。テストでは発散できないですよね。「出す」とはつまり、意見を言ったり企画したり発表したり、あるいは運動してすっきりすることです。今なら卒業式の練習などもできるのではないでしょうか。

食べてばっかりだと気持ち悪くなっちゃうもんね。やっぱり出すもの出さないと…

ちな、何の話してんの!?

うちには庭にバスケットゴールがあるので、娘のお友達には少人数ずつ体を動かしに遊びに来てもらっています。やっぱり気心知れたお友達と話したり遊んだりするのが一番のストレス解消になるようです。手洗いうがいを徹底して、食べ物を共有しないなど気を使いましたけど。

私が欲しいと思う家庭学習のサービス

学校が休校してしまった時、親が在宅とか子供がLINEやZoomの対話機能を使いこなせるとかでなければ、結局子供は家でゲーム漬けになってしまいます(ゲームが悪いとは思いませんが)。

そこで、クラスのみんなと授業や雑談ができるオンラインサービスがあれば、いつもの学校生活を再現できるのではと思いました。教室に先生がいて黒板を使って授業をしてもらい、みんなはオンラインで参加します。学級会でも構いません。発言や質問はいつも通りOKで、教科書やノートの共有もできます。Webカメラでお互いの顔が見れるようにしてもいいですね。

予備校や英会話教室ではそれに近いものをすでに取り入れていますが、「いつもの学校」であることがポイントです。今回のように、一斉休校になって急にはじめてのシステムを使いこなすことや新しいメンバーのところに入っていくことは大変です。もともと導入されているものであればいざという時にもすぐ対応できます。

<こんな時にも使える>

  • 感染症や災害で学校が休校になっている時
  • 学級閉鎖で授業ができない時
  • 欠席中の子が授業や話し合いにリアルタイム参加したい時

いつもの授業や雑談をオンラインでできれば、感染リスクもなくクラス参加できる!

LINEやZoomなどでもできますが、そういったツールを持っている仲良しの子供同士でしかできず、まとめ役をできる人がいないと難しいでしょう。子供だけだともめごとが起こりがちで、声の大きい子に引っ張られてひと言も話せない子が出てくることも。

やっぱり学校単位で導入して、クラスごとに運営するのが良いと思います。ただ、先生はますます大変になってしまうかもしれませんが。

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  1. 学校の勉強をカバーするサービス
  2. 学校以外の教養番組、IQトレーニングやプログラミング、英会話まで
  3. 自宅にいても誰かと対話できるオンラインサービス
  4. あり余った時間にありがたいエンタメ系サービス
  5. 1週間小学生の自宅学習を見てきて思うこと
  6. 私が欲しいと思う家庭学習のサービス
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