定年退職後に居場所がない、そんな人生はイヤだ


定年退職すると、人はどこに行くのでしょうか。

平日の昼間、図書館やショッピングモール、公園のベンチ、ゲームセンターのメダルゲーム、家電量販店のマッサージ椅子では、ひとりで座っているシニアの姿をよく見かけます。「ここに来たいから来た」というより、「他に行くところがない」ように、私には見えます。

定年後、自宅に居場所がなく、特に行きたいところもないのがツラいという人が増えているようです。団塊世代の大量退職と長寿命化で、「定年後の居場所問題」は社会問題化しています。

退職後は悠々自適、みんなが好きなことをしているのかと思いきや、人はなかなか趣味だけで生きていくのは難しいようです。所在なさげにしているシニアを見ると、受験戦争の果てに大学に入学して「俺のしたいことって・・・?」状態になっている学生のよう。

定年後の過ごし方について、調べたことや思ったことを書きました。

仕事をしていた時間がそっくりテレビに置きかわる

ちょっと衝撃的なデータを見てもらってもいいでしょうか。定年退職を境に、仕事をしていない65歳以上の男性が1日何をしているかを調べた結果です。



政府の総合窓口「平成28年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果 時間帯編」よりグラフ作成

1日の大半をテレビ観てすごしてるー!!

定年退職した男性は、1日の大半を仕事の代わりにテレビに使っています。「休養等」も別にあるのに、テレビだけでこれだけの時間を割いているのです。なんておそろしいグラフなのでしょうか。子供の数が極端に少ない人口分布図くらいおそろしいです。

休日に夫が家でごろごろしてテレビを観ていることに殺意がわく妻が多いとのことですが、毎日だと相当イライラするでしょう。他人ごとながら事件にならないか心配です。

60歳過ぎても働いている人はたった1割

でも、政府は雇用延長を推奨していますし、65歳定年制を導入する企業も増えてきているので、60歳を過ぎても働いている人って多いのではって思いますよね?それが違うようです。

60歳以上の就労状況

仕事はしていない(73.8%)



パート等(16.0%)



会社の常勤・顧問等(10.2%)



雇用延長などで常勤の職に就いている人は60歳以上のうち1割くらいしかいません。定年後も働きたいと考えている人は多いようですが、現実には誰もが希望する仕事に就けるわけではありません。

でも、非正規で再雇用される人とかも多いのでは?

常勤でなくても、週3回勤務などライトな働き方で再雇用される場合もあります。そのようなパート等に該当する人も16%と意外と少ないのです。実際には60歳を超えると74%の人が働いていません。

でもでも、自治会や地域ボランティア頑張ってる人ってたくさんいるよね?

仕事じゃなくてボランティアでいそがしいんじゃない?

たしかに小学校の登下校見守りやパトロール、行事などの地域活動をがんばってくれているシニアはよく見かけますよね。そういった給料の出ない活動にいそしんでいるのかと思って地域活動に関する調査も見てみました。

70%の高齢者は地域活動にも従事していない

特に活動はしていない(69.9%)



自治会、町内会などの自治組織の活動(18.9%)



趣味やスポーツを通したボランティア等(11.0%)



まちづくりや地域安全などの活動(3.5%)



生活の支援・子育て支援などの活動(1.5%)



伝統芸能・工芸技能などを承継する活動(1.2%)



その他(2.9%)



ボランティアや地域の活動に特に従事していない人は70%にもなります。働いてもいない、ボランティアもしていない、つまり何もしていない人がほとんどなのです。仕事も地域活動もせず、家事や趣味だけで1日を過ごせる人はどれだけいるでしょうか。その結果が先ほどの「1日中テレビを観ている」割合の多さにつながるのです。

それでも来る日も来る日も丸一日無為に家で過ごすことに抵抗を感じる人は多いようです。彼らはなんとか外に出かけようとします。でも、一体どこへ?

図書館は定年後の男性にとっての「勤務先」?

家にいてもやることがない、妻はどこでもいいから外に行けと言う。そこでまず思い付くのが図書館です。私は本が好きなのでよく図書館に行くのですが、新聞や雑誌があるコーナーは完全に「シニアの職場」と化しています。

開館前から「出社」して、開館と同時にいつもの「自席」につき、おのおの作業に取り掛かります。作業の内容はさまざまですが、いちばん多いのが「新聞や雑誌を読む」。新聞は競争が激しいのでよく取り合いになります。ラックには「読んだらすぐに戻しましょう」「1人1部まで」などの注意書きが。雑誌と言っても専門誌を読む人はあまりいないので、たいていは週刊誌や月刊誌です。

たまに「ナゾの作業」をしている人もいます。顔つきはとても真剣で、ひまつぶしというより「仕事」をしに来ているようです。行きつけの図書館にはひたすら本の転写をしている人を見かけました。また、新聞や地図のコピーを取っている人もよく見かけます。大きさ的に拡大や縮小が難しいのか、スタッフの手を借りることも多いようです。

たまに、司書さんに上司のような態度で資料を頼んでいる人もいます。特に相手が若い女性だと横柄です。長身の男性スタッフが出てくるとへこへこします。きっと現役時代もそうだったんだろうなと勝手に想像してみたり。

職場代わりというか、完全に職場とかんちがいしてますね。

2時間もたつと、彼らはやることがなくなるようです。膨大な知の宝庫である図書館にいながら、ヒマそうにしているとはどういうことでしょうか。帰ってもやることがないためとりあえず居眠りなどしてみます。昼になってお腹が空けば帰るのかなと思ったら、ロビーでお弁当を広げだしました。遠足か。

大きめの図書館でよく見かけますよねこういうの。なにしろ1日いても無料です。公共施設なので誰が使おうと自由ですが、多くの図書館では学生や受験生が自習することが禁止されているのに、談笑や居眠りをするシニアはOKになっているのには違和感を覚えます。中にはエロ本を持ち込んでいるアクティブすぎるシニアもいますからね。

居眠りをするシニアがとがめられることはないのに、学生が自習するのはダメっておかしいよね。

もはや公園は子供ではなく高齢者の遊び場

公園では、子供向けの遊具が少なくなってきていると思いませんか?

その代り増えているのがお年寄り向けの「健康遊具」です。ぶら下がったり、寝転がって背筋を伸ばしたり、でこぼこ道を素足で歩けるようになったりするアレです。ブランコもすべり台もジャングルジムもない公園に、子供にとって何の魅力もない健康遊具がどんどん増えています。

最近公園では禁止事項が増えていることが問題になっていますね。サッカーやキャッチボールはもちろん、場所によってはバトミントンや小さい子が使うやわらかいボールも遊べないところがあります。大声禁止っていうのもありますね。やることがない子供は端っこでカードゲームなどをやっています。

近所にある公民館の横のグラウンドでは、シニアサークルがグラウンドゴルフに使うのはOKですが、子供が球技をすることを禁止しています。

何それ、まさにシルバー民主主義・・・!

公園はシニアにとってもっとも人気のある「居場所」です。特に男性にとっては図書館よりも頻繁に足を運ぶ場所のようです。気兼ねなくマイペースに過ごせますからね。

スポーツジムのターゲットは完全にシニア

シニア女性に人気があるのはスポーツジムです。近所にいくつかスポーツジムがあるのですが、そこにもたいてい開店前から行列ができています。図書館もそうですが、どうして高齢者は営業開始前に来るのか。ただ、図書館よりも女性の比率が高いのが特徴です。

カーブスという女性専用の短時間フィットネスを売りにしているスポーツジムがあるのですが、完全にシニアサークルと化しています。カーブスのホームページには参加者の年齢構成が紹介されていますが、60歳代が圧倒的に多くなっています。

カーブスに通っている方の年齢構成

70歳以上(23%)



60歳代(40%)



50歳代(24%)



40歳代(9%)



30歳代(3%)



20歳以下(1%)



参考・カーブス「手軽に、誰でも、何歳でも!

カーブスのサイトには「幅広い年齢の方がご利用」って書いてあるけど、ほぼシニアだよね。20代なんて1%しかいないし。

たしか最初は仕事帰りの女性が手ぶらで寄れるっていうのが売りだったような…

年をとってもスポーツにいそしむのは素晴らしいことですが、ケガや病気のトラブルの心配や、介護施設化により本気で体を鍛えたいと考えている人達から敬遠されるなどの問題が発生しています。

朝から晩までゲームセンターのメダルゲーム


最近ではゲームセンターなどの遊興施設にたむろするのは、不良やヤンキーではなく高齢者のようです。平日昼間は特にシニアの独壇場となっています。彼らは一心不乱にパチンコゲームやメダルゲームに興じていて、まじめなその姿は工場で働く人のようです。

実はゲームセンターの若者離れは深刻で、2001年から2015年の間に店舗数は半減しています。スマホや家庭用ゲーム機の普及で、わざわざゲーセンまで行かなくても遊べるというのが大きいでしょう。そのため、ゲーム業界はシニア向けサービスを拡大させていて、定額コースや会員特典などお得意様になってもらうための施策をどんどん打ち出しています。

カプコンの店舗には介助士のいるところがあるそうです。うちの近所にはボーリングやメダルゲーム、ビリヤードやカラオケができる施設があるのですが、50歳以上はなんと1日何時間いても500円です。定期的にボードゲーム大会なども催されています。

メダルゲームは本当にシニアに人気だよね。パチンコより安いし認知症防止になるというし。

いくつになっても楽しめる力が、「生きる力」

誰がどのように過ごすかは、本人の勝手です。ただ、自由な時間が手に入った時に、自分が何をしたいのか分からない、何も楽しくないけど何かしていないと落ち着かないといった状態で、ただ時間を「つぶす」だけの老後は迎えたくないなと考えています。

そのためには何が大事って、一生を通して「楽しむ力」を育むことだなあって思います。

私たちは小さい頃から頑張ることを教えられて育ちますが、どうやったら自分が楽しいかについてはあまり重視されませんでした。むしろ楽しいことを我慢して頑張ることがいいみたいな。

でも、生きる力がある人っていろんなモノや環境を楽しむ力がありますよね。好奇心が強いというか。そういう人は絶対に店員やカスタマーセンターにしつこくクレームを付けたりしません。

いま定年後の居場所がないと感じている人は、ある部分では家庭をかえりみなかったなど自業自得な面もありますが、その時代の価値観に忠実に生きてきただけの不器用な人なのかも。

皆さんの老後の過ごし方計画を教えてください(^ ^)



〜白金ちな〜

3児を育てるFP母。キラキラ派でも自然派でもない快適な暮らしを模索中。料理は美味しく作るより美味しそうに食べるほうが得意。自分の意見はしっかりしているけど争いごとは嫌い。手触りのいいものが好き、羊とか。面食いじゃなくて麺食い。


〜ラムチョップ〜

ちなにしか姿が見えない賢い羊。ちなの疑問や不満に豊富な知識で答えてくれる。体は子羊、頭脳はAI。時々暴走するちなの抑え役だが、いちばんの理解者でもある。眠れない人の目の前で何度も柵を往復して100回以内に寝かせるのが得意。1歳違いの兄の名前はマトン。