マンション売却のための必要書類
〜書類の事前準備が有利になる
マンションを売却するときに必要な書類は、不動産会社が教えてくれますが、事前に揃えておくと売却をスムーズに早期に、かつ有利に進められます。
有利に進めらる理由と必要な書類を紹介して、それらの書類が「不動産販売会社に査定の依頼時」「不動産会社との契約時」「購入者との契約時」のどの段階で必要かについて解説します。
目次
書類を最初から準備しておいたほうがよい理由
必要書類には、売却の事務手続きのために必要な書類のほかに、購入希望者が知りたい情報が記載されている書類や住宅ローンを組めるかどうかを知るために銀行に事前審査を申請するときに必要な書類などがあります。
購入希望者が必要とする書類をあらかじめ用意しておくとよい理由は、購入希望者に「購入する・しない」の判断を速く決定してもらえるからです。
購入希望者は、一般的に複数の物件を比較検討して購入する物件を決めます。この複数候補のマンションから1つを選ぶ過程は、多くの友だち関係のなかから結婚相手を選ぶときの過程ににています。
一般的に相手のことをすべて理解したほうが、結婚をする・しないの判断を速くできます。マンションでも購入希望者が、マンションを見学しただけではわからない情報をすべて開示・提供することで、スムーズに早期に契約できる可能性が高くなります。
あらかじめ書類を用意した方がメリットがある
もちろん、すぐ断られる可能性もあります。しかし、断られてもメリットがあります。購入希望者がいると、その購入希望者の確定回答を待っている間は、別の購入希望者が現れても、その購入希望者には「購入する・しない」の検討を待ってもらわねばなりません。
もしかしたら、待ってもらった購入希望者は購入をしてくれる人であったかもしれません。待ってもらったためにその人は、別の物件を検討して購入してしまう可能性があります。
すべての必要書類をあらかじめ用意しておくことで、このようなチャンスを逃す確率を低くできます。そのため購入希望者が要求する書類を手元に準備しておいて、要求があればすぐに渡せるようにしておきましょう。
マンションでの生活がイメージできる資料も重要
マンション売却に必要な書類ではありませんが、あれば売却決定を促進できる資料として、その地域の居住者でないとわからない情報を提供する資料があります。
売却するマンションがファミリー向けであれば、例えば衣食住に関するお買い得な店舗情報、子どもの遊び場情報、私立幼稚園や小中学校のユニークな教育方針などを中心に、エリア情報を紹介した資料を用意します。
こうすれば購入希望者はマンションだけでなく、そのエリアで生活するイメージを持てます。同様に若い夫婦向けのマンションであれば、娯楽施設やおいしいと評判のレストラン情報などが考えられます。
購入希望者は、マンションだけでなくそのエリアでの生活をイメージし、総合的に判断して購入を決断します。最近は、インターネットで、どこにどのような業種の店舗があるか、公園や学校の場所、名前、広さなどの情報は簡単に入手できます。
しかし、インターネットの情報だけでは知りえない細かい特徴、イメージを具体的に伝えられると購入希望者は、生活を具体的にイメージでき、ここで生活してみたいと思うようになります。そこで手作りで、このようなエリア情報の資料を準備すると効果的です。
マンション売却に必要な書類名の一覧
登記事項証明書(登記簿謄本)
かつては、登記簿謄本と呼ばれていましたが、現在はデータが電子化されたことで登記事項証明書と呼ばれます。登記事項証明書には、「全部事項証明書」と「一部事項証明書」がありますが、「全部事項証明書」を用意します。現在は、インターネットを利用して自宅から申請して取得できます。手数料も割安です。
売買契約書と重要事項説明書
売却予定のマンションを以前に購入したときに取り交わした売買契約書と交付された重要事項説明書です。なくさずに重要な書類として保管されていると思います。探して取り出しておきましょう。見つからない場合は、売買契約書は購入した不動産会社が必ず保管しています。問い合わせしてコピーを取り寄せましょう。
重要事項説明書は、保管義務のない書類なので不動産会社に保管されていない可能性があります。同じマンションの入居者に依頼できるようであれば、コピーさせてもらうなどして用意しましょう。重要事項証明書は、購入希望者にとっても必要となる情報であるためできるだけ用意するようにしたほうがよい書類です。
権利証(または登記識別情報)
権利証は、権利書あるいは登記済証とも呼ばれますが、2005年に不動産登記法が改正され、この年以降は権利証を登記識別情報と呼びます。
権利証(登記識別情報)は極めて重要で権利証をだまされたりして取り上げられると、不動産を勝手に処分されると一般的に思い込まれています。
重要な書類であることに変わりませんが、権利証(登記識別情報)を持っている人に不動産を自由に売却されてしまうわけではありません。
重要な書類というイメージが強いので上記の3つの書類とともに必ず自宅のどこかに保管されている書類です。もしも見つからないときは、権利証も登記識別情報も再発行されない書類なので、司法書士に数万円の費用を支払って売却するマンションの所有者であることを証明してもらう必要があります。
固定資産税納税通知書
1月1日時点におけるマンションの所有者には、毎年5月以降に市区町村から固定資産税と都市計画税の納税通知書と課税明細書が送付されてきます。その書類を用意します。なお、紛失していても市区町村に固定資産公課証明書の発行を請求すれば代用できます。
間取り図と付帯設備仕様書
購入希望者にとって、重要な情報の間取り図や付帯されている設備の仕様書を示す書類です。
詳細な部分までわかる間取り図、付帯設備仕様書が理想です。付帯設備に故障や欠陥があるときは正直に告知します。知っていて告知しないで、後から購入者が発見すると責任を負わねばなりません。
建築設計図書
マンションの建物の設計図面や仕様がわかる書類です。マンションでは管理組合や管理会社に保管されています。購入希望者が、リノベーションを希望していると必要になる書類です。
マンションの管理規約・使用細則
マンションの入居者が守るべきルールが書かれているので、購入希望者に必要な情報が記載されている書類です。
維持費関連書類
マンションでは、必ず必要な経費の管理費や修繕積立金などの金額は、購入希望者にとっても重要な情報です。口頭でもよいですが書類で渡すほうが印象はよりよいでしょう。
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書
1981年以前に建築されたマンションを売却するときは、耐震診断報告書などで現行の耐震基準を満たしていることを証明しないと売却が困難と考えられます。不明な場合は、耐震診断をしたか、結果はどうであったかを管理組合に確認が必要です。
アスベスト使用調査報告書もこの書類で使っていないことがわかれば購入希望者は安心します。
住宅性能評価書
売却するマンションが、2000年以降に建築されていれば住宅性能評価を受けたマンションの可能性があります。わからなければ管理組合に確認しましょう。住宅性能評価書があれば購入希望者へアピールできます。
本人確認書類(身分証明書)
運転免許証、パスポートなどの顔写真付きの書類です。マンションなどの不動産売却では、マンションを所有する本人が売却する意志を持っているかの確認が必要となるため準備しなければなりません。
実印、印鑑証明書
実印とは、市区町村に印鑑登録している印鑑のことです。マンションなどの不動産の売買契約書では、実印が使われます。
印鑑証明書とは、実印が本物であることを証明する書類のことです。なお、印鑑証明書は、3カ月以内に発行されたものに限定されるのが一般的です。あまり早く準備すると無駄になる可能性があります。
住民票・戸籍の附票
登記事項証明書(登記簿謄本)の住所と現在の住所が異なるときに住所変更が必要になるため用意しなければならない書類です。住民票に有効期限はありませんが、一般的には3カ月以内に発行されたものに限定されています。
銀行の通帳
手付金や売却代金を振り込んでもらう金融機関の通帳を準備します。
ローン残高証明書またはローン返済予定表
売却するマンションにローンが残っているときに必要な書類です。返済予定表でも代替できます。
マンションのパンフレット
売却するマンションの購入時のパンフレットは、マンションが魅力的に見えるように制作されているため、あると購入希望者に魅力をあますところなく伝えられます。
手作りの地域情報を紹介した資料
必要書類ではありませんが購入希望者の購買意欲を高められます。そこに住んでいる人でしかわからない地域の魅力を伝える資料を手作りで準備しましょう。
必要書類を準備するタイミング
不動産会社によって必要な書類とタイミングは同じではありません。必ずしも以下のとおりにならない場合があります。期限が限定されるものは除いてタイミングに関係なく準備するとよいでしょう。
不動産販売会社に査定の依頼時 | 不動産会社との契約時 | 購入者との契約時 | |
登記事項証明書 (登記簿謄本) | ○ | ○ | |
売買契約書と重要事項説明書 | ○ | ○ | |
権利証(または登記識別情報) | ○ | ○ | ○ |
固定資産税の納税通知書 | ○ | ○ | |
間取り図と付帯設備仕様書 | ○ | ○ | |
建築設計図書 | ○ | ||
マンションの管理規約・使用細則 | ○ | ○ | ○ |
維持費関連書類 | ○ | ○ | |
耐震診断報告書とアスベスト使用調査報告書 | △(ある場合) | △(ある場合) | |
住宅性能評価書 | △(ある場合) | △(ある場合) | |
本人確認書類(身分証明書) | ○ | ○ | ○ |
実印、印鑑証明書 | ○ | ○ | |
住民票・戸籍の附票 | △(住所が異なる場合) | ||
銀行の通帳 | ○ | ||
ローン残高証明書またはローン返済予定表 | △(住宅ローンが残っている場合) | △(住宅ローンが残っている場合) | |
マンションのパンフレット | ○ | ○ | |
手作りの地域情報を 紹介した資料 | ○ |
マンション購入希望者の視点に立ってできるだけ多くの情報を提供する
マンション購入希望者は高額なマンションを購入することから失敗したくない気持ちが強く、できるだけ多くの情報を欲しがっています。その要望に迅速に応えるように対応しましょう。
また、購入希望者が、このマンションで、この地域に住んだときの生活イメージをできるだけ具体的に持たせられるようにすると売却しやすくなります。不動産販売会社に任せきりにしないで、情報提供を積極的にしましょう。
そうするとマンション売却をスムーズに早期に、かつ有利に販売できます。(著者・阪木朱玲)
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