マンション売却10のステップ
〜成功させる流れと注意点

多くの人にとって所有マンションを売却する経験は、一生涯のなかで1度あるかないかです。不動産会社に任せきりにしたり、よくわからないまま売買契約をしたりして、後で「失敗した…」と後悔することがあります。

高額なマンション売却では、十分な知識がないままに売却を進めると何十万円から何百万円という大きな金額を損する可能性が高くなります。このサイトでは、マンション売却を成功させるために必要な基本的な流れと、賢い売り方・注意点について解説します。

マンションの売却は、以下の10のステップが多少前後したり、同時進行します。

情報収集〜売却希望価格(上限値)&実際の売却価格をチェックする


マンションを売却したいと思ったらマンションの価値をまず自分で調べて、いくらで売れそうかを確認します。

売却価格は、最終的には不動産会社による訪問査定を受けて、不動産会社の意見を参考にしながら、いくらで売りたいかの希望を考慮して決定します。売却価格が高すぎるとなかなか売却できず、安すぎると安売りになって損をするため売却価格の設定は重要です。

売却するマンションのおおよその価格を知るには、不動産の一括査定サイトで簡単に査定額が分かる机上査定(簡易査定)を利用すると簡単に分かるので、はじめのステップとしておすすめです。

また、多数の売り物件を紹介している不動産販売サイトで、売却するマンションの周辺エリアで売りに出されている同じようなマンションの販売価格からも推測できます。

不動産販売サイトの販売価格は、売却希望価格(上限値)です。実際に売却された価格を知るには、「レインズ・マーケット・インフォメーション」や「土地総合情報システム」で調べると実際に売買された価格が分かります。

売却にあたって必要な書類の確認と収集

マンションを売却するには、不動産会社に査定を依頼するとき、売却依頼の契約をするときなどに必要な書類、あるいは売却をスムーズにまた高く売却するためにさまざまな書類をそろえないと売却できません。

具体的には以下の書類です。

  1. 登記事項証明書(登記簿謄本)
  2. 売買契約書と重要事項説明書
  3. 権利証(または登記識別情報)
  4. 固定資産税納税通知書と固定資産税評価証明書
  5. 間取り図と付帯設備仕様書
  6. 建築設計図書
  7. マンションの管理規約、使用細則
  8. 維持費(管理費や修繕積立金)などの書類
  9. 耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書
  10. 住宅性能評価書
  11. 本人であることを確認する書類
  12. 実印、印鑑証明書
  13. 住民票・戸籍の附票
  14. 銀行口座の通帳
  15. ローン残高証明書またはローン返済予定表
  16. マンション購入時のパンフレット
  17. 地域の便利な情報を紹介した手作りの資料
*売却するマンションによっては必要のない書類もあります。

売却を依頼する不動産会社の選定と訪問査定

マンションを売却するには、売却を依頼する不動産会社を選ぶ必要があります。マンション売却を成功させるには不動産会社選びが大きなウェイトを占めます。

大手と地元密着の不動産会社のメリットとデメリット

大手の不動産会社のメリットは、店舗や販売員も多く、それだけ豊富な顧客リストを持っており、買い主を探しやすいことです。

買い主から見ても安心感があるので有利に売却できる可能性があります。デメリットは、扱う物件が多いので売りやすい物件を中心に販売員は販売活動をします。そのため売却したいマンションが売りにくいマンションと判断されると売れにくくなることが考えられます。

一方、地元に密着した営業をしている中小の不動産会社のメリットは、生き残りのために一生けん命になって販売に努力する傾向や、事務的でない密なコミュニケーションで買い主の信頼を得る可能性が一般的に強いことです。

そのため買い主に信頼されて売却がスムーズにいく可能性があります。デメリットは、広告量が大手不動産会社に比べると少ないこと、店舗数など規模の点で購入希望者の集客力が弱いことです。

一般的な傾向は上記のとおりですが、近年はインターネットを利用して大手でも中小の不動産会社でも広く売却物件を公開できることから、大手と中小の差は大きくありません。

最も重要なのは、社員の販売能力です。

人の能力を見抜くことは難しいですが、接客態度や身なり、話し方が社員全体にレベルが高いかどうかを見極めて、売却を依頼する不動産会社を選ぶことが大切です。

不動産会社の営業年数を調べましょう

判断が難しいときは、必ずしも社員の能力と比例するわけではありませんが、不動産会社の免許番号を確認することで、その会社の営業年数が分かります。長く営業できている会社は、一般的に考えて信頼性があると考えられます。創業して年数の少ない会社が劣っているのでありませんが、判断基準の1つにできます。

不動産会社の店舗やインターネットのホームページには必ず、宅地建物取引業を営業するために必要な免許番号が記載されています。

複数の都道府県に事務所がある不動産会社は国土交通大臣から、1つの都道府県だけにしかないなら都道府県知事から免許を受けています。

免許は5年ごと(1996年3月以前は3年ごと)に更新が必要で、上画像の赤線の()内の数字はその更新の回数を示す数字です。

初年度は(1)、6年目で(2)になり、5年ごとに()内の数字が増えていきます。数字が大きいほど長く営業している会社と分かります。

ただし、多少の注意点があります

例えば、東京都内で30年間営業していて、新規に神奈川県に店舗を持つと都道府県知事から国土交通大臣の免許に変わりますが、このとき数字は1になる決まりがあります。その他にも数字が必ずしも営業年数を表さないケースがありますが、おおよその判断として利用できます。

訪問査定の依頼と売却を依頼する不動産会社の決定

またステップ1で机上査定の結果や、ステップ3でマンション売却の依頼をしたい候補の不動産会社3社程度に訪問査定を依頼します。このとき、査定結果だけを聞くのではなく、各不動産会社に査定の根拠や売却を希望するマンションをどのように売却する考えかを聞くことが重要です。

しっかりした会社、担当者なら、きちんとした説明ができます。説明を聞いて納得できる不動産会社と契約を行います。売り主としては、高く査定してくれる不動産会社に依頼したくなりますが、売れる価格でなければ意味がないので査定価格にこだわって不動産会社を選ぶのは好ましくありません。

不動産販売会社を決定したら、3種類ある媒介契約の違いを理解して締結します。3種類の媒介契約とは、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」です。

売却価格の最終決定

売却価格は、高く売りたいため最初は高額にしたいと誰もが考えますが、売りたい価格と売れる価格は異なります。不動産会社は、手離れよく簡単に売れるほうが楽なので、本音では相場よりも安い価格で売りだしたいと考えています。

不動産会社の言いなりにならないためにも、ステップ1でのマンション価格の相場をよく調べておくことが重要です。不動産会社の査定価格をベースに査定価格通りにいくのか、もっと高い価格から売り出すのかを不動産会社と相談しながら決定します。

広告・販売活動

不動産会社を決定し、売却価格を決めたら、不動産会社が広告・販売活動を始めます。どのような計画で広告・販売するのかをよく不動産会社に確認し、納得できなければ改善を依頼しましょう。

一般的に不動産の販売は、インターネットや画像の閲覧からはじまります。写真の撮り方で印象が大きく変わるので、自身が購入する立場で見映えのよい写真を掲載するようにすることが重要です。

購入希望者への内覧対応

広告や販売活動の結果、購入希望者が内覧を希望します。購入したい強い意欲のある人が内覧を希望しているのでしっかり対応することが、売却の決め手となるため極めて重要です。

このとき、購入希望者が良い印象を持つように工夫することが大切です。内覧を成功させるためのポイントは、たくさんありますが、そのなかでも「清潔さ」「明るさ」「気持ち良い対応」です。

内覧時には徹底的にきれいにして清潔さがあふれるようにしておきます。たとえ、不動産会社の担当者が、「ふだんの状態で構いません」と言っても、そのままの状態では売れるマンションも売れなくなります。

清潔感と明るさが大切

特に清潔にしなければならないのは、第一印象を決める「玄関回りと玄関」です。次に重要なのが、「キッチン、お風呂、トイレ、洗面所などの水回り」です。玄関とトイレは臭い対策も必要です。

その家庭に特有の臭いに住人は鈍感になっていますが初めて訪れる人は臭いを強く感じます。また、マンションの場合は、マンション全体の印象も大切なため、大変ですがロビーや共用廊下もきれいにしておきましょう。

清潔感と同時に明るさも重要です。暗めの部屋などがあれば、照明器具を取り換えて明るくなるようにしておきます。暗いと気分が高揚しないので、購入希望者のマンションを購入したいというテンションが低下して印象も悪くなります。カーテンが暗い色であれば、明るい色に変更するのも効果的です。

最後の「気持ち良い対応」とは、例えば購入希望者の内覧希望日時を、こちらの都合で変更しないことや、購入希望者の内覧したい場所を断らないなどできるだけ気持ちよく内覧してもらうように心がけることです。過剰なサービスをするのではなく気持ちよく内覧してもらえる環境を作りましょう。

価格交渉


中古マンションの売却では、「必ず値引き交渉がある」と考えましょう。

一般的には、売り出し価格から1割から、売り出し価格を高く付けていた場合は3割程度の値引きで契約が成立しています。もちろん、値引きなしで決定する場合もありますが、値引きは必要と考えていたほうがよいでしょう。

売却マンションの引き渡し・引越し

売買契約が成立すると、約束をした日までに引越しを完了してマンションを引き渡さなければいけせん。

近年は、春先の引越しシーズンでは運送業界の人手不足から引越しが予定の日にできない可能性があります。引っ越費用も割高になることから、この時期をできれば避けて、余裕のあるスケジュールで引越し計画を立てておく必要があります。

また、官公庁への届け出や電気・ガス・水道・電話・郵便局・銀行・子どもがいれば学校などへの連絡や手続きなどたくさんやることがあります。引越しサイトなどを参考にチェックリストを作っておくとやり残しを防止できます

確定申告・納税

マンションを売却するとその所得は譲渡所得として損益(そんえき)計算をして、利益が出ればマンションを売却した年の翌年の3月に必ず確定申告をしなければなりません。利益が出ない場合は、税法上は確定申告をしなくても構いませんが、一定の要件を満たしていると利益が出ていなくても確定申告をすることでメリットが得られます。

譲渡所得の計算では、要件を満たすと特別控除や軽減税率が利用できます。利益が出そうなときは売却のタイミングを変えるだけで税額を大幅に節税することも可能です。詳しくは譲渡所得の解説を熟読することをおすすめします。

マンション売却がどのような流れで進むのか、それぞれにステップで重要なことや注意点について解説しました。

高額なマンションの売却は、不動産会社に任せきりにしないで、ご自分でもどうすれば早期に、また高額で売却できるかを考えることが大切です。

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おおよその売却額を知ることができる机上査定、より精度の高い査定を希望するなら「訪問査定」を選択しましょう。

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  1. 情報収集〜売却希望価格(上限値)&実際の売却価格をチェックする
  2. 売却にあたって必要な書類の確認と収集
  3. 売却を依頼する不動産会社の選定と訪問査定
  4. 訪問査定の依頼と売却を依頼する不動産会社の決定
  5. 売却価格の最終決定
  6. 広告・販売活動
  7. 購入希望者への内覧対応
  8. 価格交渉
  9. 売却マンションの引き渡し・引越し
  10. 確定申告・納税
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