オリンピック後のマンション価格は、
下がるの上がるのどっちなの?

ちなです。
先日、首都圏に住む友人から、「今マンション買うのってどう思うー?オリンピック後にはマンション価格は暴落するっていう人もいれば、東京はまだまだ上がるっていう人もいて、どっちなのかよく分からないんだよねー」と、完全に聞く相手を間違えている相談がありました。知らないよ不動産のことなんて詳しくないもん!ヽ(`Д´)ノ

でも確かに五輪後暴落説はよく聞きますよね。ニュースでは今のマンション価格の上昇はバブルじゃないかともいわれています。オリンピックが終われば暴落するという人がいれば、いやいや再開発が進んでむしろもっと上がるという人もいて、どうしてこんな真逆の予測が飛び交っているのか不思議に思いませんか?

ちょっと不慣れな分野だけど、頑張って調べてみました!

今のところマンション価格は順調に上がっている

まずマンション価格が今どうなっているのか調べました。

不動産関係のデータは国土交通省がいろいろ統計をとっていますが、数字が細かすぎてよく分からなかったりします。業界団体の「不動産経済研究所」や公益財団法人「不動産流通推進センター」といった団体がまとまった資料を作ってくれていたりするので、参考にしてみました。

次は、マンションの地域別平均分譲価格の推移です。五輪開催直前の現在の状況としては、マンション価格は順調に上がっている状態であることが示されています。



マンションの平均分譲価格の全国平均は2010年から2020年の10年間で1.23倍、首都圏に限ると1.29倍に上昇しています。特に首都圏は2013年に東京五輪開催が決定してから価格が上がり始めました。湾岸エリアの高層マンション価格が高騰して話題になりましたね。

日本に高価なマンションを買える人がそんなにいるのかと思いましたが、中国をはじめとする海外投資家が円安を利用して投資目的で買う流れもあるようです。

特に23区内の価格が高くて、平均分譲価格は7,712万円もするんだって!

大阪のほぼ2倍ね。やっぱり東京の値段は他とはちょっと違うわ。



東京のマンション建設はやや低迷気味

価格が高いということはよく売れるということで、よく売れるなら建設会社はどんどんマンションを建てているのではと思いましたが、首都圏に関していうと新たに建設されたマンションの着工数は、2008年のリーマンショックで破綻した不動産ミニバブル期ほど活発ではなく、どちらかというと減少傾向にあります。

これは、「需要はあるからもっと作りたいけど、それができない状況」であることを示しています。首都圏では新築マンションのための用地が不足しており、大手ディベロッパーでも確保が難しいといわれる状況です。そのため、マンション着工戸数が低迷気味なのだと考えられます。

つまり、土地が余ってないから新しく作れないけど、東京のマンション需要は十分高いってことだね。

でも、オリンピック後はどうなるんだろう?

【暴落説】首都圏はバブル状態、五輪後には崩壊

マンション価格は2017年に過去15年間で最高価格を付けています。しかしこれはオリンピック特需による不動産バブルで、2020年の開催後にはバブルは崩壊するのではないかといわれています。その理由として挙げられているのが以下の3つです

2019年10月に消費税10%に増税

今年の10月から消費税は現行の8%から10%に増税されます。高い買い物ほど増税額が大きく、3000万円の物件なら消費税が60万円も多くなるため、増税前にマンションの駆け込み需要が高まる可能性が高いと考えられます。

駆け込み需要の後は需要が大きく落ち込むのが常ですから、2020年前後はマンション価格が大きく下がる、という予想がよく聞かれます。

人口減少と空き家の増加

日本は生まれる人よりも亡くなる人の数が多い人口減少時代に突入しています。2018年の人口動態統計によると、死亡数から出生数を引いた自然減は40万人となっています。人が減れば住む家も少なくて済という流れで、日本中には空き家が増加していることが問題になっています。

2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、住宅総数に占める空き家率は13.6%とのことです。家が余っているのに今後マンションが増える可能性は低いという理由で、マンション価格も下がるのでは、というのが2つ目の理由です。


東京都中央区晴海にあるオリンピック選手村「HARIUMI FLAG」

オリンピック選手村跡地マンションの放出

3つ目は大規模マンションの放出による供給の変化です。中央区晴海では大規模な選手宿泊施設が建設されており、オリンピック後には内部をリフォームして「HARIUMI FLAG」として一般に販売される計画になっています。

その総戸数は4145戸、想定居住者数は1万2000人以上と過去最大級で、首都圏のマンション市場に多大な影響を与えると噂されています。価格は物件によってばらつきがありますが、周辺相場に比べて割安との声もあり、そうなると平均のマンション価格を押し上げる要因になるかもしれません。

【高騰説】五輪後も再開発が進んで価格は上昇する

逆に、マンション価格は五輪後も上がり続けるという説もあります。特に首都圏は不動産の価格が暴落する2020年問題とは無縁だという声もあります。その根拠は次のようなものです。

首都圏への人口流入

日本全体では人口は減少しつつありますが、首都圏では人口が増えています。総務省の人口動態調査によると、2018年に人口が増えた都道府県は埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、沖縄の6県のみで、地方ほど人口減がはげしく、都市部でも増加したのは東京圏だけです。

それも出生数が増えたからではなく、他件からの転入の増加が原因です。今後もその傾向が続けば、それに連動してマンション価格も上昇するというのが1つ目の根拠です。

外国人観光客の増加

次に根拠として挙げられるのは、外国人観光客の増加です。2013年には1000万人程度であった訪日外客数は、2018年に3000万人を突破し、今後も増えることが予想されています。

既存の宿泊施設だけでは足りないため、民泊などの新しい宿泊形態の普及が推し進められており、民泊利用のマンションの需要も高まってくれば、マンション価格を押し上げる要因にもなるといわれています。

建設需要の高まり

マンションの価格は土地代や建築コストに利益を乗せた形で算出されます。現在は人件費や建築資材は高騰しており、マンション価格が高めなのはそのためです。

建築コストが下がればマンション価格が下がることが想定されますが、東京では五輪後もリニア開業や超高層ビルの建設、東京駅周辺や虎ノ門周辺の再開発と大規模開発が目白押しなため、建築コストはそう簡単には下がらないという根強い説があります。

両極端な説がどっちも存在する理由

どっちの説にも説得力があって、どっちが正しいか分からないなー

そういう時は「誰が」情報を発信しているか見たらいいよ。

よく調べてみたら、五輪後はマンション価格が暴落する説を主張する発信源には、マンション販売の仲介業者や不動産査定のサービス会社が多いように思います。一方、五輪後もマンション価格は維持または上昇すると主張する発信源には、マンションをはじめとする不動産の販売会社や不動産投資を勧める会社が多いです。

つまり、それぞれの立場から都合のいい情報を発信していると見ることができます。

  • マンションを売ってほしい側 → 価格が下がるから早く売ったほうがいい!
  • マンションを買ってほしい側 → 価格はまだ上がるから買った方がいい!

暴落説と高騰説はどちらも多く存在しますが、肌感覚では暴落説の方が多いような気がします。やっぱり危機感をあおる方が情報としての注目度が高いのでしょうか。中立の情報ももちろんたくさんありますよ。そういうところは「絶対こうなる!」って断定的に書かれていることはないのが特徴的ですね。

専門的な機関はどう予測している?

一応、専門的な期間が発表した不動産価格の今後の見通しを載せておきますね。

経済産業省の「今後の分譲マンション市場の見通し」によると、

  • 契約率もずっと高く不動産の需給バランスは好調
  • 家族世代や引退世代など住宅取得適齢期の人がしばらく多い
  • よって引き続き好調が予想される

としながらも、

  • 販売価格が上がり過ぎたら消費者の買う気が失せる
  • ゼロ金利政策が解除されたら住宅ローンが上がる
  • 東京にいい土地はもう余ってないから立地条件の悪い物件ばかりになるかも

という点に注意が必要としています。

不動産の鑑定評価などを行う民間団体である日本不動産研究所によると、

  • 新築マンション価格は、2018年まで上昇
  • 以降ほぼ横ばいで推移
  • 2020年には2019年10月消費増税の影響でやや下落
  • 以降2025年までは微減する

とあります。

こちらは統計データを使用した予測結果で、1989年から集計してきたマンション価格とマクロ経済指標や東京23区の人口などを使って構築されたものです。精度は高そうですが、あくまでも各データに基づく計算上の予測です。

どちらも緩やかな上昇を期待させるような将来分析ですが、状況次第では価格が下がることをにおわせるのも忘れておらず、何だか 「晴れのち曇り所によって一時雨」のような、すっきりしない予測です。


結局のところ、「分からない」ことが分かった!

結局のところ、将来の不動産価格を予測することは不可能なんだということが分かりました。よく考えたらそりゃそうですよね。だってそれが分かるんだったらみんな同じタイミングで売ったり買ったりしますよね。絶対に儲かるんだもん。株価を予想できないのと同じです。

だからといって、調べたり勉強したりするのがムダなわけではありません。人口がマンション価格に影響すると分かっていれば、ニュースで人口変化の話をしている時、「気になるあの地域はどうだろう」と調べるきっかけになります。

また、住居としてのマンションの購入は、金銭的に損か得かだけで決めるといろいろややこしいことになります。それについてはここに書きました↓

とにかく、五輪後の首都圏のマンション価格については、上げる要素下げる要素どちらもあって、どちらがどのくらい強いかはその時になってみないと分からない、というのが私の結論です。専門家ならいざ知らず、一般人ならこのくらいが限界かなと。


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