食べログで酷評する人々を考察する
〜友人の店の口コミがひどい話
ちなです。食べるの大好き。
最近、あんまり食べログのランキングを参考に店選びをしなくなりました。結局は現地に行って自分の感覚を頼りに選ぶしかないんだなって、分かってきたからです。そのほうが楽しいし。
星の数はあくまでも他の人の感想であり、自分とはイコールじゃないなって改めて思います。もちろん評価の高いお店にはさすが!ってところがたくさんありますよ。でもやっぱり決めるのは自分。それにだんだん「当たり店を見つけるセンサー」が鋭くなってきたんですよ(´∀`*)
だから食べログを見るのは目的のお店の営業時間や連絡先を確認する時、または知らない土地にどんなお店があるのかざっと確認したい時だけです。食べログを批判するつもりはないんですが、口コミには首をかしげざるを得ないものもあるのも事実。最近ちょっと嫌な経験もしたので、それについて書きたいと思います。
目次
知り合いのお店が酷評された!
親友の家族の方が経営されているお蕎麦屋さんがあります。産地まで厳選したそば粉をたっぷり使った十割そばのお店です。
十割そばは兵庫県で何度も食べたことがありますが、この店では、そばの概念がひっくり返るくらい風味たっぷりの独特な触感が楽しめます。こんなにぜいたくにそば粉使って大丈夫?赤字じゃない?って心配になるくらいです。お店の名前と場所は…教えません!
住宅街にひっそり営業しているかなり隠れ家的なお店なのですが、早い段階から食べログでは高い評価が付いて、★4つを超えていた時期もあります。しかし有名になってしまってからはやけに厳しいコメントが付き始め、最近は3.5いくかいかないかくらいです。
世間の人がどう評価しようと自由だとは思いますが、誤解や思い込みで酷評されるのは、知人の店ということもありあまり良い気はしません。
たとえば、
- 「のどごしがない」
- 「箸でつかむとすぐ切れる」<
- 「ツルツル感がなく、パサパサしている」<
- 「プチプチとした変な噛み応えがある」<
などの理由で評価を下げている人が何人かいました。しかしそれらの特徴はつなぎを使わないまさに十割そばの醍醐味であり、アイデンティティです。
十割そばがざらざらしててダメなんて、納豆がねばねばしているって怒っているようなものだよ。
おそらく信州そばのようなものを想像していたのでしょうが、自分の想像と違っていたからといって星1つはひどいのではないでしょうか。十割そばの説明はメニューにも店の看板にも書いてあるのだし。
そこまで言う必要ある?という口コミ
口コミサイトとは他者を評価するための資格や能力を持たない人でも感想を述べることができる仕組みで、それが強みでもあるのですが、易々と評価する側に立てた人が、自分よりも努力し自分よりも結果を出している人に対しても何を言ってもいいみたいな土壌を生み出しているのはちょっとなーって思います。
先ほどのそば屋にも、上から目線なコメントがいくつか見られました。
- 「この店主はそばの何たるかを分かっていない」
- 「そば屋を名乗ってほしくない」
- 「水だけは美味しかった」
- 「まだまだこれからって感じ」
そこまで言う!?みんな海原雄山みたい!
自分でお店を経営したこともないのにただ食べ歩きが趣味というだけで、ここまで他人をけなす権利ってあるんでしょうか。これが多くの人に役に立つ「中立で有益な情報」なのでしょうか。これなら完全に店側の宣伝丸出しの提灯記事の方が私にとっては好感度が高いです。
辛口なのと失礼なのは違うんだよ!
あまりにも大きい食べログの影響
「お店を探す時はとりあえず食べログ」というくらい、日本人にとって食べログは馴染みのあるサイトです。公式サイトによると月間約1億1,877万人以上が利用、掲載レストラン数 約89万件以上、口コミ数 約3,200万件以上と、もはやインフラといっていいくらいの浸透度です。
一般人がどのグルメサイトを利用しているか調査したところ、複数回答で食べログが利用率84%で1位、ぐるなびが利用率66%で2位、3位はホットペッパーで利用率35%だということです。
<飲食店のグルメサイト利用ランキング(複数回答)>
食べログ(84%)
ぐるなび(65%)
ホットペッパー(35%)
グーグルマップ(13%)
ヒトサラ(13%)
トリップアドバイザー(11%)
一休.com(11%)
Retty(9%)
その他(7%)
楽天ダイニング(1.8%)
参考・クックビズ総研「飲食店の7割が活用!気になるグルメサイト利用実態と口コミの信頼性」
食べログの大きな特徴は、「ユーザーの投稿が主な情報源」という点です。ホットペッパーやぐるなびはどちらかというとお店側からの情報発信ですが、食べログは消費者の声をベースにコンテンツを作っています。
食べログを運営するカカクコムは「本音」で「中立公正」であることをポリシーとしていますが、問題は情報源であるユーザーが本当に中立公正を心がけているか疑問が残る点にあります。先ほどの例のように、あまりにも一方的で感情的な書き込みをされ営業に悪影響がありそうな場合、お店としては打つ手があるのでしょうか?
問題のある口コミは削除してもらえる
一応、悪質な誹謗中傷については削除依頼に対応する仕組みはあるようです。
例えば以下に該当するような口コミをみつけた場合、食べログにお知らせください
事実と異なる内容
- 出していないメニューや食材の記載がある口コミ
- 「経費削減のためエアコンをつけていない。」など、お店の経営方針、内部事情に関して、決め付けた口コミ
飲食店への断定的批判、利用客批判
- こんな店に行く価値は無い
- ぼったくり、詐欺だ
- 隣にいた客がうるさくて迷惑だった
衛生管理面や個人的なトラブルへのクレーム
- テーブルの周りにゴキブリがいた
- 別の客と会計を間違えて請求された
引用・食べログ「不適切な口コミへの対応について」
しかし、ちょっと検索すれば断定的批判やトラブルへのクレームは出てきます。どうやら運営側がすべてチェックして削除してくれるわけではなさそうです。かといってお店の人も忙しいので、常に口コミをチェックしていちいち通報する時間はないでしょう。
また、個人の主観による感想はガイドライン違反ではないため、依頼しても削除してもらえる可能性は低いようです。でも、断定的批判と個人の主観による感想って、どうやって見分けるんでしょうね?そういう事情もあって、店側としては不本意な情報がそのまま掲載されているのが現状のようです。
食べログへの掲載は拒否できない
そもそも、食べログに宣伝してもらう気がないのであれば、お店の情報自体載せてもらう必要がありません。掲載がなければ勝手な口コミも書かれないので、掲載を断ればいいのではないでしょうか?
と思ったらなんと、食べログはお店がイヤだと言っても掲載する方針なのだそうです。しかも、それは法的にも問題ないのだとか。2016年には飲食店が情報を削除するよう求めた裁判で最高裁が店側の請求を退ける判決をしています。
えっ・・・!そんなことあり得るの・・・?
ホームページや電話帳などで「一般的に公開」されている店については、「店の意向に関わらず」掲載されます。口コミ機能を拒否することはできません。住所や電話番号を公開していないお店なんてほとんどないでしょうから、実質営業している以上は掲載の対象になります。
あまりにもひどいということで、千葉市の九州料理店が食べログ会員の出入り禁止を記した貼り紙をしたとして話題になっています。
食べログの評価ランキングのしくみ
食べログの点数やそれによるランキングはどのように反映されているのでしょうか。
食べログによく投稿する人の声が反映される
食べログの点数は評価の単純平均ではなく、ヘビーユーザーの影響度が高くなるよう設計されています。
食べ歩きの書き込み経験が豊富な人の声が反映されやすいのですね。でもこれってコメントの信用度を担保するものなのでしょうか。
2017年には有名レビュアーの接待疑惑が週刊誌で報じられました。
高評価をした飲食店から過剰な接待を受けていたというものです。本人は「誤解を招く恐れがある」とのことで、該当する口コミはすべて削除されています。
Googleマップの口コミは特に実績がなくても自由に書き込みができます。アカウントを作ってすぐでもコメントは反映されます。悪口の書き放題ということになりますが、いろんな人の意見を反映しやすいというメリットもあります。極端な口コミがあった場合、それを打ち消すようなバランスの取れた口コミも投稿されやすいということです。
完全に自由で扱いも平等なのと、よくしゃべる人の評価を重視するのと、どっちがいいんだろうね…
情報が増えるほど自分の感覚が鈍る
インターネットでお店の情報を詳しく知ることができるようになったのはすごくいいことだと思います。でも、情報があり過ぎると自分の感覚が養われないデメリットがありますね。グルメの話になると、必ず思い出すマンガがあります。
最近は、「なぜこの食べ物が美味いか」という情報があふれています。どこの産地の材料をつかって、どんな素晴らしい方法で料理して、作った人はどれほど素晴らしい経歴の持ち主か、といったものです。
そんな理由があれば美味しいに違いないと思ってしまいますよね。でも本当にブランド豚だから、何々県産だからこの味と分かっている人ってどのくらいいるのでしょうか。
「怒りの投稿」をする人にみられる特徴
低い評価をする人の投稿内容を読むと、怒っている人が多いですよね。お店が期待外れだからといって、なにも怒ってわざわざ攻撃的な文章を書きこむ必要はないと思うんですよね。
「ガッカリ」「最低」「最悪」「不愉快」「二度と来ない」・・・ここまで言わなきゃいけないほどの出来事って何でしょうか?
ラーメンを頭からぶっかけられたのかな?
低評価のポイントは「接客」
色々目を通してみた結果、怒っている人は料理の良し悪しよりは接客に腹を立てている人が多いことが分かりました。
- 「店員の態度が悪い」
- 「言葉づかいがなっていない」
- 「自分より後に注文した人に先に料理が出た」
- 「お会計で個別ではなく一括でといわれた」
- 「水がセルフサービスだった」
- 「予約時に子連れと伝えたのに子供用いすが用意されていなかった」
もてなし方が気に入らなかったから、料理も、内装も、あらゆることが気に入らないといった様子が見られます。
確かにみんながホテルのコンシェルジュのような接客をしてくれるわけではありませんから、中には残念な人もいるでしょう。だからってそんなに怒る?って思いますよね。なぜ接客に満足できないと全体の評価が下がってしまうのでしょうか。
悪評投稿者の目的は何か
私なりに考えてみました。
人は、自分が尊重されていないと感じると怒りを感じます。食通を自認し「評価する側」である自分を丁寧に扱ってもらえない、または期待とは違う対応をされた時、「鉄槌」をくださなければと考えてしまうのですね。だから、彼らのコメントはあんなにも「上から目線」なのです。
しかし思い出してみてください、お店とお客はあくまでも対等であり、お客がお金を払う代わりにお店はモノやサービスを提供します。もし気に入らなかったら、次から行かなければ済むことです。
お店に仕返しをする必要もないし、他の人に行かないように言う必要もありません。それでもやるのは、彼らの目的が「お店を評価すること」ではなく、「自分が評価されること」にあるからです。
だから、自分の期待と違ったり、もてなしが足りないと感じた場合に、あんなにも怒るんだ。
一方的な書き込みをしたために口コミを消された人は、「お店に都合の悪い評価をしたら食べログ側に消された」って陰謀論をブログなど別のメディアで公表したりします。どこからそんなエネルギーが思ってしまいますが、自分が悪くないことを証明するためだと思えば納得ですね。
食べログとの距離感
確認ですが、食べログの機能そのものや、低評価をつけるユーザーが悪いといっているわけではありません。食べログはとても便利なサービスですし、考えた人はエライと思います。
投稿している人も、一般ユーザーなのに高い文章力や分析力の人が多くて感心します。低評価を付ける人の中にも、「あくまでも自分の好みで」と上からではない人もたくさんいます。
なんだかんだ、これからも使うと思います。
でも単純にランキングや星の数だけでなくて、具体的な情報を得るために使うと思います。レビューはGoogleなど他のアプリも併用で。でも、現地を散策する時間があるなら、自分のセンサーを信じて店選びをしたいですね。